いま、ヨーロッパではオペルが絶好調だ。
ザフィーラやメリーバ、シグナムといった新ジャンルカーや、大きく実力アップしたベクトラシリーズが要因だが、その勢いはまだしばらくは続きそうな気配である。
そんなことを感じさせるほど、新しいベクトラワゴンの完成度は高い!


リポート|市原直英|N.Ichihara(本誌) フォト|日本ゼネラルモーターズ


 メーカーの押しつけがましいブランド戦略にはウンザリ。プレミアムやらライフスタイルやら、そんなコザカしい言葉は一切無視して、本当にいいものを自分流に使い倒してこそカッコいい。最近とみにそう思っていた僕の目に、ベクトラワゴンはそのスタイリング同様、とてもクリーンでソリッドなクルマに映った。
 先日のフランクフルト・ショーでデビューしたベクトラワゴンは、セダン、GTS、シグナムに続くシリーズのキーモデルだ。なぜならドイツ市場ではこのクラスは約半数がステーションワゴン。目下、セダン/GTSで好調をキープするベクトラは、このワゴンで一気にクラストップのVWパサートを射程圏内に定めている。それだけに、見て使って走らせて、さまざまに高いバリュー・フォー・マネーを感じさせる仕上がりだった。
 まずお知らせしておくべきはボディサイズだろう。セダンに比べて全長で226mm、ホイールベースで130mmも拡大されており、全長4822×全幅1798×全高1500mmという、堂々とした体躯に成長している。これは先代とは比較にならず、むしろオメガワゴンに近いサイズ。その証拠に、ラゲッジルームの最大積載量はオメガワゴンを50リッター凌ぐ1850リッターとなり、クラス最大級を誇るのだ。
 にもかかわらず、走りにはGTSバリのキレがあるから驚きだ。
 ドライブしたのは日本への導入が予定されている3.2リッターV6モデル。これはシリーズの最上級仕様で、ほかにガソリン仕様だと1.8リッター、2リッターターボ、2.2リッター直噴(以上、すべて直4)という、実に多彩なラインナップが揃う。
 さて、その3.2リッターV6はセダン系でもおなじみのユニットで、211ps/30.6kg-mを発生。スペックは平均的だが、無味無臭の宇宙食みたいなエンジンが世間に溢れる中、ちゃんとオーガニックな息吹がして好感が持てる。スロットルを開けるに従って高まりゆく、ババババッという雄叫びとグッドバイブレーションは、54度のバンク角がもたらす不等間隔爆発のせいだろう。これがなんともスポーティで心地いい。誤解を解くためにいっておくと、これらはちゃんとチューニングされており、NVHのレベルとしてはまったく快適なクルマなのだ。
 そんな演出もあってか、低速からしっかりと盛り上がるトルクに後押しされるベクトラワゴンは、実際かなり速いクルマに感じられた。タイミングを見計らってアウトバーンでフルスロットルをくれてやると、どんな速度域からもしっかりと加速、200km/hに達するまでにストレスを感じることはない。ちなみに0→100km/hは8.4秒、トップスピードは237km/hと発表されている。
 そしてタイトなコーナリングでも身のこなしは軽快だ。スポーツサスに組み合わされる225/45R17のコンチ・スポーツコンタクト2はしっかりトラクションを路面に伝え、トルクステアを気にするシチュエーションはほとんどない。ステアリングを切り、ノーズがスッとインに入った直後にだけGTSより若干大きいヨーモーメントに気付くものの、腰でGを感じながらのコーナーリングはまさにGTS譲り。スポーツサスもガチガチに固めるタイプではなく、しっとりとロールさせる正統派チューンだから、日本車でいうところのスポーツワゴンとは少しキャラクターが違う。“素性の良さからくるスポーティさを内に秘めた、実力派ステーションワゴン”と解釈するのが正しいはずだ。
 はっきりいって、これといった欠点が見つからないベクトラワゴン。こんなクルマを思い切り使い倒してこそ本当のライフスタイルだと思うのだか、いかがだろうか。発売開始は来春とのことである。



 
OPEL VECTRA WAGON
■全長/全幅/全高(mm)
4822/1798/1500
■ホイールベース(mm)
2830
■トレッド(前/後)(mm)
1536/1525
■車両重量(kg)
1633
■エンジン種類
Z32/V6DOHC24V
■排気量(cc)
3175
■最高出力(ps(kW)/rpm)
211(155)/6200
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
30.6(300)/4000
■トランスミッション
5AT
■サスペンション(F:R)
ストラット/コイル: マルチリンク/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:Vディスク
■タイヤ(ホイール)
225/45R17(7J)
■東京標準現金価格
問い合わせ先
※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。
 
  ホイールベース2830mmはシグナムと同じ数値だが、ワゴンはさらにリアオーバーハングが186mm延長されている。デザインは非常にプレーンで、嫌味なく仕上がっている。
  通常530リッター、最大1850リッターを確保するラゲッジルームは、仕切りネットによって様々に活用できる工夫も。リアシートバックはシングルフォールディング式でフラットになる。

ロングホイールベースの恩恵で、インテリアは前後、左右とも文句なしの広さを持つ。試乗車にはレザーシートを装備。リアの多機能アームレストはオプションで、冷蔵庫、テーブル、テレビモニター台などを装備する。
  セダンと共通するインテリア。試乗車のトリムパネルはスポーティなアルミ調タイプで、日本仕様ではGTSに装備されるものと同じ。5ATはマニュアルモード付きだ。
  日本へは3.2リッターV6のみが導入される予定。スペックは211ps/6200rpm、30.6kg-m/4000rpm。5ATのギア比は(1)4.68 (2)2.94 (3)1.92 (4)1.30 (5)1.00、最終減速比2.40。
  試乗車はスポーツサスを搭載するが、路面からの突き上げに眉をしかめることは皆無。ベースはサーブ9-3にも使われているGMのイプシロン・プラットフォーム。素性の良さでは定評のあるアーキテクチャーだ。
  225/45R17のコンチ・スポーツコンタクト2。スポーツ性と快適性を兼ね備えたプレミアムクラスのタイヤだ。



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