最初のMG車が誕生したのは1924年。
それはMorris Oxford用のシャシーを使って作られたスポーツツアラーだった。そんなスポーツマインドを受け継ぐ、現代のMGサルーンとツアラーを紹介しよう。

リポート|萩原秀輝|H.Hagiwara フォト|柏田芳敬|Y.Kashiwada


 MGは、イギリス伝統のスポーツカーブランドだ。その八角形のエンブレムは、2シーター・ミッドシップのMGF(現行モデルではMG-TF)により受け継がれてきた。さらに、MGローバーグループ誕生を機に、既存モデルのスポーツ性を高めるシリーズ名としても用いられるようになった。
 その第一弾が、MG ZT/ZT-Tだ。スタイリングを見ても分かるように、ベースとなっているのはローバー75である。エクステリアは、大胆なデザインのフロントバンパースポイラーが目を引くが、いかにもMGらしいのがメッシュのグリル、いや装飾的な意味合いを極力排除したストーンガードだ。クロームのモール類もすべてボディ同色となっているだけに、もはや75で感じるクラシカルな雰囲気はない。
 インテリアも、雰囲気はまったく異なる。ウッドトリムの代わりにメタリックペイントのトリムが用いられ、メーター回りのデザインも一新。文字盤のグラフィックも見やすさを最優先している。シートは、専用のバケットタイプを装着。サポート感の高さは、高次元の走りを予感させるのに十分だ。
 しかも、MG ZT/ZT-Tは、見た目をスポーティにしただけではない。サスペンションを強化し車高も下げられている。タイヤは、225/45R18を装着。それに合わせて、ブレーキもローターの大径化を図っている。エンジンとミッションは75と同じだが、シャシー回りはスポーツモデルとして本格的な内容を持つ。
 その事実は、乗った瞬間にわかる。端的にいって、乗り心地がかなり硬いのだ。それだけでも、スポーツモデルに乗っている実感が高まってくる。にもかかわらず、荒々しさは感じない。サスペンションが強化されていても、フリクションが低減され、必要にして十分な動きは確保しているのだろう。なおかつ、ボディ剛性が高いだけに、サスペンションで吸収しきれない衝撃を遮断してくれる。乗員に不快な突き上げなどを伝えることはない。
 コーナリング中はサスペンションが路面に追従し、優れた4輪の接地感を保ち続ける。ワイド化されたタイヤの影響で路面のわだちを拾いやすく、ステアリングに軽く手を添えているだけでは進路が乱れそうになる。だが、そんなときには、少し強めにリムを握り直すだけでいい。進路を修正するといった、余計な緊張感を抱くような対応は必要ない。
 ブレーキは、ペダルに与える強めの踏力を要求する。それに慣れてしまうと、一気に減速するときには思い切りよくガツンとペダルを踏める。そうした場合でも、クルマの姿勢自体は安定している。荷重移動に対する依存度が低く、ブレーキングしながらステアリングを切り込むときも、リアの接地性が不足してスタビリティを損なうことがない。
 ワゴンボディを持つZT-Tは、ZTよりもリアのサスペンションがより固めの設定となるが、それがハンドリングに影響することはない。リアの荷重増加分に対応した設定なのだろう。ハンドリングも正確そのものであり、切った分だけキッチリと曲がってくれる。
 このように、MGブランドを冠したZT/ZT-Tは、きわめて分かりやすい商品性を備えている。それに期待して選択しても、決して裏切られることはないはずだ。



  MG
  ZT ZT-T
■全長/全幅/全高(mm)
4760/1780/1420
4810/1780/1470
■ホイールベース(mm)
2750
■トレッド(前/後)(mm)
1510/1510
■車両重量(kg)
1530
1590
■乗車定員(名)
5
■エンジン種類
V6DOHC24V
■排気量(cc)
2497
■最高出力(ps(kW)/rpm)
177(130)6500
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
24.5(240)/4000
■10・15モード燃費
9.2
9.0
■トランスミッション
5AT
■サスペンション(F:R)
ストラット/コイル: Zアクスル/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:Vディスク
■タイヤ(ホイール)
225/45R18(7.5J)
■東京標準現金価格
\4,250,000
\4,430,000
問い合わせ先
※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。
 
  インパネ回りにはロジウムメタリックカラーが多用され、メカニカルな雰囲気に仕立てられる。基本的にはローバー75と同じデザインながら、スポーツテイスト溢れる演出が上手い。
  ZT/ZT-Tには、MGらしいスポーツ指向のシャシーチューニングが施されることで、スムーズかつパワフルなドライビングを可能にしている。
  しなやかなアルカンタラシートがしっかりと身体を支え、ハードなドライビングにおけるホールド性も十二分。もちろん、快適なのはいうまでもない。

分割可倒式のリアシートを倒せばラゲッジスペース容量は最大で1222リッターまで拡大。小さな荷物の積載に便利なダブルハッチテールゲートを採用、ハッチガラスは単独で開閉可能だ。



MGサルーン・シリーズの頂点に位置するMG-ZT。アグレッシブなフロントエンドのデザインはZT-T同様で、75サルーンをベースに、真のスポーツドライビング特性を生み出すべく、空力とシャシーダイナミクス関連を徹底的にチューン。また、オプションで用意される大型のトランクリッドスポイラー(写真右上)により、高速安定性はさらに向上。価格は4,250,000円。
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