9-3スポーツセダンのリニア、アークに遅れること数カ月、待望のエアロが上陸した。
パワーこそすべての高圧ターボを搭載し、エアロ専用に各部を強化。
新型9-3の真打ちともいえる、エアロ2.0Tの実力のほどを早速お伝えすることにしよう。


リポート|熊倉重春|S.Kumakura フォト|郡大二郎|D.Kori

 新しい9-3をサーブはスポーツセダンと呼んでいるが、それなら新着のエアロ2.0Tが一番だ。ターボを示すアルファベットが大文字なのが決定的なポイント。どちらかといえばノーマル系のリニア1.8t(150ps)は大気圧+0.5バール過給、アーク2.0t(175ps)は0.7バール。それに対して、こちらは同じ2リッター4気筒でも0.85バールで押し込んで209psと30.6kg-mを絞り出す。しかもこの数字、乗ってみるとかなり控えめなのがわかる。リニアとアークを重ねたような分厚いトルク感が頼もしい。
 さりとて決して荒々しすぎないのが嬉しい新発見でもある。これまでサーブの高性能系はドッカン・パンチが特色で、このエアロも去年スウェーデンで味見した時はそんな感触があったと思う。ところが日本で再デートしてみたら、どこから踏んでもワラワラとトルクが湧き出して、特別の段を感じさせにくい。これならわざわざ5速AT(アイシンAWのスグレモノ)をマニュアル操作せずとも、Dレンジに入れっぱなしで余裕綽々だ。低速から高速まで一定のGで背中を押されるあたり、ジェット機の離陸滑走を連想させる。こんな感覚はメルセデスにもBMWにもアウディにもない。
 シャシーの強化も、このエンジンによく釣り合っている。しっかり締め上げられたダンパーは215/50R17のタイヤを押さえつけ、無用なドタバタ感を出させない。この点、むしろアークより上だ。乗車感もどっしり地面に突き刺さるもので、かなり攻めてもハイパワーFFで心配なオットット状態にはまずならない。これまではむしろ素朴(というより未熟)なスポーツ感覚が目立ったが、今度のエアロはずいぶん洗練された。
 もちろん一連の9-3のトップグレードだけに装備は十分で、そのうえ専用のスポーツシート(革張り)やバイキセノン・ヘッドライトなども奢ってある。素人向けの表面的な特徴は乏しいが、ワケ知りの少数派を任ずるインテリ向けの秘密兵器だ。
 

  エンジンはアーク、リニアと同じ1998ccの4気筒。エアロではこれに高圧ターボを組み合わせることで、209ps/5300rpmの最高出力と、30.6kg-m/2500pmの最大トルクを絞り出す。
  ドライバーに向けて緩やかなカーブを描く、使いやすさを考慮したインパネ。エアロで標準となるステアリング上のシフトボタンは、さらに素早いシフトチェンジを可能にする。


室内はレザーシート&ドアトリムが標準装備。シートはスレートグレー、パーチメントの2種類からチョイスできる。北欧車らしく前席シートヒーター機構は、全モデルに標準装備。
  エクステリアはフロントアンダースポイラー、サイドスカート、リアアンダースポイラーが標準装着。トランクリッドにもさりげないスポイラーを装着し、控えめにスポーティさをアピール。ホイールは17インチが標準サイズ。
  SAAB 9-3 AERO 2.0T
■全長/全幅/全高(mm)
4635/1760/1465
■ホイールベース(mm)
2675
■トレッド(前/後)(mm)
1525/1505
■車両重量(kg)
1480
■乗車定員(名)
5
■エンジン種類
直4DOHC16V+ターボ
■排気量(cc)
1998
■最高出力(ps(kW)/rpm)
209(154)/5300
■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm)
30.6(300)/2500
■10・15モード燃費
9.5
■トランスミッション
5AT
■サスペンション(F:R)
ストラット/コイル: 4リンク/コイル
■ブレーキ(F:R)
Vディスク:Vディスク
■タイヤ(ホイール)
225/45R17
■東京標準現金価格
¥4,700,000
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※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。
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