
ここではフォーカスの 実力を浮き彫りにするべく、欧州コンパクトハッチの定番ともいえる VWゴルフとプジョー307と一緒に走らせてみた。
欧州マーケット最大の激戦区であるCセグメントにおいて、 フォーカスのアドバンテージはどこに見出せるのだろうか。
リポート|萩原秀輝|H.Hagiwara フォトH|郡大二郎|D.Kohri
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クルマのボーダレス化が進んでいるのは、紛れもない事実だ。とはいうものの、国産車にはなくて輸入車にはある”何か”は決して少なくない。たとえば、コンパクトクラスのハッチバックの存在からしてそうだ。いくつかの国産車が存在してはいても、目立つことはなくなってしまった。
ところが、輸入車は別である。各メーカーともに、販売の主力となっているのはコンパクトハッチだ。この違いを説明するには、やはり”何か”を解き明かさなければならない。こうした話をすると、すぐに”日本人はブランド好きだから”といった表面的な事象だけで結論を急ぐことになりかねない。なるほど、その通りかもしれないが、実際には”何か”があるからこそブランドは価値を持つ。
それどころか、ブランドの価値が明らかではなくても”何か”さえ感じ取ることができれば、魅力は際立ってくる。フォード・フォーカスは、そうしたコンパクトハッチの典型だ。フォードには北米と欧州のそれぞれに開発拠点があるため、ブランドの価値はそれぞれ異なる。しかし、フォーカスはカジュアル感とスポーティ感を巧みに兼ね備えたモデルとして、欧州フォードのベストセラーカーにもなっている。
このクラスのハッチバックは、そもそも日常の足として活躍する、いい意味の実用車である。ただ、実用一点張りになってしまうと、素っ気なさが前面に現れてしまい魅力を損なう。フォーカスは、そこをスポーティ感という切り口で補っている。今年1月に追加されたベーシックグレードの1.6GLXも、価格設定を189万円と日本車並みに抑えているが、素っ気なさは感じない。欧州フォードならではのテイストとして確立したニューエッジ・デザインが、スタイリングの精巧さを表現しながら、そこに大胆さや躍動感といった要素を盛り込むことに成功した効果もあるだろう。
インテリアは、大胆なデザインを採用していながら人間工学に基づいた設計になっているだけに、乗った瞬間から使いこなせそうな親しみがある。もちろん、そう感じるだけではなく実際に乗りやすく使い勝手がいい。
1.6リッターの4気筒DOHCエンジンは、最高出力こそ100psと控えめだが、最大トルクは14.8kg-mに達する。スペック重視の日本車と比べても、勝るとも劣らない実力を発揮しているわけだ。そして、アクセル操作に対して力強さが素直に立ち上がり、必要に応じてペダルの踏み加減を調整すればその通りの加速が得られる。
エンジン音は、加速時や高速域に聞こえてくるが、不快感を伴うノイズとは無縁でいられる。それだけに、静粛性を重視するあまりサルーンカーのようになってしまうよりは、エンジン音が走りの臨場感を生み日常の足として活躍してくれている実感が沸いてくるので、むしろ好ましい特徴といえる。
サスペンションの設定にしてもそうだ。ハンドリングが正確なので、街中を小気味よいフットワークで駆け抜けられる。なおかつ、スタビリティも十分に確保しているので、山岳路に持ち込めばスポーティな走りが楽しめる。1.6GLXはタイヤが14インチになるが、ボディやサスペンションがシッカリとしているだけに、その性能を余すことなく使えるため不満はない。
さて、輸入車には他にも”何か”を持ったミドルハッチバックがある。VWゴルフがそうだ。VWといえば、かつては機能性を最優先させた実用車であった。だが、最近ではゴルフにもラグジャリー感を盛り込んでいる。特に、乗った瞬間に感じるインテリアのラグジャリー感は、まさにこのクラスの日本車にはない”何か”を表現している。その”何か”は、フォーカスのカジュアル感とも異なる。
そこから見い出される魅力は、ゴルフであればクラスを感じさせない上質な雰囲気だろう。エンジン特性はフォーカスと似ているが、サスペンションの設定は異なりしなやかさを感じさせる。ハンドリングは穏やかであり、コーナリング中に適度なロールを許すあたりも、スポーティな走りを楽しませてくれるフォーカスとは異なる。
ゴルフは、ミドルハッチでありながら、ラグジャリー感とともにサルーンカーのような走りも感じさせてくれる。その意味では、フォーカスのようなミドルハッチらしさをあえて狙っていない。逆に、実用車として日常の足として活躍するクルマというよりも、サルーンカーのように大切に扱いたくなる気持ちが増してくる。
それはそれで、日本車にはない”何か”にはなる。だが、実用車の本質からは外れているという見方もできる。一方のフォーカスは、カジュアル感やスポーティ感といった”何か”を持ちながら、気遣いなしに乗れる実用車らしさも大切にしたクルマといえる。
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3車の中では最もデザインコンシャスなコクピット回り。人間工学に基づいたレイアウトは一見して煩雑ながら、実はとても扱いやすい。ベーシックモデルとはいえ、装備に不足はない。 |
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運転席はシート高調整機能付きで、チルト&テレスコピックステアリングとともに体型を問わず最適なポジションが得られる。前席デュアル&サイドエアバッグが標準装備と安全性も万全。 |
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1.6リッターDOHCユニットは100psと14.8kg-mを発生。全域でフラットなトルク特性を発揮し、パワーの立ち上がりもスムーズ。組み合わされるトランスミッションは電制の4速AT。 |
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タイヤサイズは185/65R14で、ホイールは残念ながらラインナップ中で唯一のスチール+フルホイールキャップ。このあたりはベーシックモデルとして割り切りたいところ。 |


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ベーシックモデルとはいえ必要十分な機能が与えられたE。細かい点ではヘッドライトの光軸調整スイッチまで標準装備。デザインはオーソドックスながら、質感はクラストップレベル。 |
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運転席はフォーカス同様の調整機構によりポジショニングの自由度は高い。安全面では前席デュアル&サイドエアバッグに加え、後席にはチャイルドシート用のISOFIXマウントも備わる。 |
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102psと15.1kg-mを発生する1.6リッターSOHCユニット。フォーカスの1.6リッター同様にフラットなトルク特性により、街中から高速まで十分な仕事っぷりを発揮。トランスミッションは4速AT。 |
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タイヤサイズは195/65R14で、ホイールはスチール&フルホイールキャップ。シャシー系で注目は、ベーシックモデルながらボディコントロールデバイスのESPが標準装備される点。 |
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