ストイックなディフェンダー、ラグジャリーなレンジローバーの中間に位置付けられるディスカバリーがマイナーチェンジを受けた。
今回の変更は内外装がメイン。その意味で進化の度合いはさほど大きくない。だが、オン・オフを両立する走りは依然輝きを失っていなかった。
リポート|竹平 誠|M.Takehira フォト|松本高好|T.Matsumoto |
 |

'03モデルのディスカバリーは、新型レンジローバー風の顔つきになり、近頃の宣伝文句である「プレミアム4×4」らしい印象が強調された。しかし、バンパーやランプ類の意匠も変わって旧モデルとの識別こそ容易であるものの、メーカーのいう700箇所もの変更や改良が行なわれたとは、素人目には気付かない。
'98年にシリーズ2ディスカバリーが登場した際、初代からの変更は1300箇所とメーカーはいった。このときも外観上の変化は少なかったが、荷室の拡大や数々のハイテク・デバイス搭載はランドローバーファンを喜ばせ、四駆マニアをうならせて喝采を浴びた。あれから5年、700箇所も変わったと聞いては期待も高まったのだが、「変化の度合い」という意味だと'03モデルは少々肩すかしの感がある。要するに今回の変更は、各構成部品のリファインがなされたということなのだろう。我々のちょい乗り試乗では判らぬ、ユーザーにとって大切な品質面での向上が計られたのだと思う。
まぁ、この車にとっては変わらないことも魅力のひとつだし、このセグメントでディスカバリーが依然機能的に最先端を進んでいるということも忘れてはなるまい。また、この車はランドローバーが'70年の初代レンジローバーで築き上げた、歴史に残るマスターピースともいえるサスペンション設計の革新、「リジッドアクスルの芸術」の正統な継承者でもある。
一見、クラシックな印象すら抱かせるディスカバリーだが、その中身は最新電子制御を満載したハイテクカーでもある。たとえばディスカバリーに備わるACE(アクティブ・コーナリング・エンハンスメント)は、この背の高い車にまるで魔法のようにロールフリーなコーナリング能力を与えた。ACEは電子制御の油圧アクティブスタビライザーで、サイドフォースを検出するや瞬時にロールを抑え込んでくれる。近頃のオンロード指向の強いSUV達が足下にも及ばぬペースでワインディングを駆ける実力は、この車のオーナーだけの特権だ。そしてもちろん、このACEがあるからこそソフトな乗り心地とハンドリングの両立が実現しているのだ。
ランドローバーのアイコンともいえる伝統のオフロード性能も、ハイテク装備で強化されている。HDC(ヒル・ディセント・コントロール)は運転者がオフロードに不馴れであっても安心して急坂を下らせてくれるし、TRCは滑りやすい路面や荒れた地形でも苦もなく車を進める。ABSやHDCはバックで急坂を下るときにすら機能、オフロードで遭遇する困難に対する配慮はまさにプレミアムと呼ぶに相応しい徹底ぶりだ。
市販車で最大のローレンジ減速比や4速すべてで機能するトルコンのロックアップ、素晴らしくコントローラブルなレスポンスを誇るV8エンジンなど、この車のオフロード適性は初代デビュー以来14年の歳月を経ても進化を続け、依然ライバルの追従を許さない。
正直なところ、やはり歳月の流れはデザインを古く見せるし、インテリア、エクステリアともに、この車のビルドクオリティをプレミアムというには改善の余地も少なくはない。しかし、ディスカバリーのその類い稀な先進性と優れたオフロード性能に価値を見いだせる人にとっては、この車が唯一無二の選択となることは間違いない。なぜなら、この特別な価値を超えるプレミアム性など、事実上存在しないのだから。
|
|
|
 |
|
たび重なる改良を経て、ほぼ熟成の域に達した4リッターのV8。古式ゆかしいOHVながら、最新のマネージメント・システムやムービングパーツで現代的性能を保つ。 |
 |
|
HSEのホイールは、「スタイル6」というネーミングの6スポークデザインが新たに採用されている。サイズは18インチだが、ベーシックなSEは16インチを採用する。 |
 |
|
HSEのレザーシートは、表皮の仕様を変更。インテリアカラーも新たに「ランドローバー・ブラック」「ツンドラ・グリーン」「アルパカ・ベージュ」の3色を設定している。 |
 |
|
レンジローバーを彷彿させる「ツインポケット・ヘッドランプ」を採用。バンパーの意匠も併せて変更したことで、フロントマスクは一層力強いイメージになっている。 |
 |
|
リア回りは、テールランプのデザイン、レイアウトが変更された他、バンパー形状も従来とは微妙に異なる。また、HSEのルーフレールは太めのチューブタイプになった。 |
 |
 |
| |
LAND ROVER DISCOVERY HSE |
 |
| ■全長/全幅/全高(mm) |
4720/1890/1940 |
 |
| ■ホイールベース(mm) |
2540 |
 |
| ■トレッド(前/後)(mm) |
1540/1560 |
 |
| ■車両重量(kg) |
2140 |
 |
| ■乗車定員(名) |
7 |
 |
| ■エンジン種類 |
94D/V8OHV 16V |
 |
| ■排気量(cc) |
3947 |
 |
| ■最高出力(ps(kW)/rpm) |
185(136)/4750 |
 |
| ■最大トルク(kg-m(Nm)/rpm) |
34.7(340)/2600 |
 |
| ■10・15モード燃費 |
6.3 |
 |
| ■トランスミッション |
4AT |
 |
| ■サスペンション(F:R) |
リジット/コイル:リジット/エア |
 |
| ■ブレーキ(F:R) |
Vディスク:ディスク |
 |
| ■タイヤホイール |
255/55R18(8J) |
 |
| ■東京標準現金価格 |
¥4,900,000 |
 |
| 問い合わせ先 |
 |
| ※上記スペックは本誌発売当時の値、価格は税抜き価格です。 |
|