 |

| |

|
 |
『男と女』 |
 |
 |
'66.FRANCE
監督、クロード・ルルーシュの名を一躍有名にした恋愛映画のヒット作で、アカデミー外国映画賞、オリジナル脚本賞、そしてカンヌ映画祭グランプリを受賞。20年後の'86年には同じスタッフ、キャストで続編『男と女II』も作られている。現在はビデオソフトが発売中で、価格は2,480円(税別)
●発売元=ワーナー・ホーム・ビデオ |
 |
 |
恋愛モノの映画で、さらに時代設定が現代なら、クルマは効果的なシーンを演出する小道具として実に有効だ。
今回採り上げる作品の中でも、主人公はラリーに参加したマシンで恋人の元に駆けつけるのだが、リアリティ云々は別にしてロマンチックに見えるのはたしか。
ラリーマシンを演じるのがスペシャルティカーの始祖、ともなれば、それはなおさらだろう。
写真=松本高好|T.Matsumoto 文=熊倉重春|S.Kumakura |
|
|

 |
フランシス・レイによる主題曲は覚えていても、映画『男と女』の内容まで思い出せるかどうか、今となっては自信がなかろう。事細かく語って意味のある映画ではないからだ。ここでクロード・ルルーシュ監督が描いたのは大人のお伽とぎ話であって、ことさら感情移入したり、人生に影響を受けたりするものではない。あのころ世相はこうだったとか、誰と観に行ったとかなら思い出せるかもしれない。
とりあえず恋愛がテーマなので、ストーリーはある。だが、その描写は淡々どころか、完全に突き放したように
も見える。だからベッドで睦みあう場面にもエロティシズムは希薄だ。しかも、いくつもの重要なポイントが、すべて言葉だけで語られてしまう。主人公の妻が自殺したという事実も間接的な言葉だけだし、女の心情を推し量るのも、男の独り語り(しかも場面とは無関係のナレーション)にすぎない。
そんなテーマは別として、マニアとしては、随所に挿入された当時のル・マンやモンテカルロ・ラリーの実写シーンは記憶しているかもしれない。本物だけに、ペドロ・ロドリゲス、ダン・ガーニー、ティモ・マキネンなど錚々たる顔ぶれが、単なるモノクロの記録として登場するのは興味深い。
もちろんクルマもそうだ。どうやら制作に際してフォードの協力を仰いだのだろう。主人公のレーシングドライバーがパリ郊外のモンレリーでテストするクルマが初期のフォードGTでありブラバム・フォードF3なのも、ヘルメットにブルーオーバルのフォード・マークが描かれているのも、そのせいに違いない。だから主人公はフォード・マスタングでモンテに出場し、それで恋人に逢いに駆けつける。
ところで余談ながら、おもしろい偶然もある。いや、ひょっとしたらルルーシュ監督は、最初から承知でこんなストーリーを描きキャスティングしたのかもしれない。主演の俳優ジャン-ルイ・トランティニアンの伯父モーリスは、本物のレーシングドライバーだったのだ。それもトップクラスの一員で、'54年のル・マンを制したほか、'55年にはフェラーリで、'58年にはクーパーでモナコGPにも優勝している。F1界にミッドエンジンを持ち込んだ先駆者クーパーにとって、これが初の優勝だった。その人気もあって小さな田舎町の町長にも選出され、『男と女』が撮影される直前の'64年まで町長ドライバーとして活躍していた。
映画の中では、ル・マンの事故で主人公が瀕死の重傷を負う段落があるが、本物のドライバーであるモーリス・トランティニアンも'48年のスイスGPでコクピットから投げ出され、何日も生死の境を彷さま徨よったことがある。
さて、マスタングだが、ヨーロッパのイベントにアメリカ車といっても、さほど意外ではない。特に'60年代のフォードはヨーロッパでの存在感を増すべくル・マンにも挑戦すれば、コスワースに資金を与えてF1史上きっての名機DFVエンジンを開発させるなど、きわめて活発に動いていた。あのF1チャンピオン、グレアム・ヒルが典型的なアメリカ車フォード・ギャラクシーでモンテに出走した記録もある。今やギャラクシーはミニバンの名だが、あのころはイギリスのツーリングカー・レースでも常連のクーペだった。
しかし、マスタングをスポーツやレースの側面から捉えるのは正しくない。正体は大衆的なクーペおよびコンバーチブルで、その後のスペシャルティカー・ブームの発端となったことで、歴史に名を留められるべきクルマだ。極端にいえば、シボレー・カマロもトヨタ・セリカも、マスタングの成功がなければ生まれなかったに違いない。 |
 |
|
|
|
| |
 |
 |
 |
     |
| Copyright (C) GAKKEN CO., LTD. All Rights Reserved. |
|
|