FORD フォード・モンデオST220/フォーカスST170
MONDEO ST220
FOCUS ST170


ハイパフォーマンス攻勢への布石

もともと基本性能の高さには定評があり、乗れば誰もが納得するクルマでありながら、日本では、いまひとつイメージがつかみにくいことで、セールス面でやや損な役回りを演じてきた欧州フォード。だがしかし、今後はちょっと面白い展開となりそうだ。
WRCなどで培ってきたテクノロジーを存分に活かし、積極的なハイパフォーマンスモデルの投入を明言。
もう“ブレッド&バターカー”とは呼ばせない!?

リポート|萩原秀輝|H.Hagiwara フォト|フォード日本

MONDEO ST220

高性能派生モデルを要に新たな製品戦略を開始

 欧州フォードが変わり始めたのは、'90年代の後半あたりからだ。Kaのデビューでニューエッジデザインを提案。フォーカスとモンデオがそれを受け継ぎつつ洗練度を高め、没個性的だった製品構成からの脱却に成功した。同時に、エクステリアとインテリアの品質向上を進めていった。
  さらに、走行性能にも磨きをかけた。まず、ボディの高剛性化を実現し、それによりを基本性能を大幅に向上。結果として優れたスタビリティを獲得するとともに、正確なハンドリングが実感できるようになった。とくに、フォーカスは正確さを際立たせていただけに、スポーティと呼べるハンドリングを楽しませてくれた。一方のモンデオは、正確さを高精度感に置き換えるなど、セッティングの奥深さまで感じさせた。
  だが、製品価値が高まっているにもかかわらず、欧州フォードには商品価値が追従していなかった。このあたりは自らも認めるところであり、実際に欧州フォードが展開してきた製品主導型戦略は、次の段階に入ろうとしている。
  その手段は、ドイツ系メーカーがプレミアム路線を突進してきたのとは異なる。欧州フォードは、製品開発担当副社長のマーチン・リーチが「パフォーマンス指向のデリバティブ(派生)の開発こそ新しい製品戦略の要になる」と語っているように、今後は数々の高性能派生モデルを投入するという。
  そうしたモデルを開発する拠点として、欧州フォードはスペシャル・ビークル・エンジニアリング(SVE)部門を持つ。この部門は'80年に設立され、カプリRS、シエラRSコスワース、エスコートRSコスワースといった、ETC(欧州ツーリングカー選手権)やWRC(世界ラリー選手権)で活躍した、まさに高性能派生モデルを生み出してきた。
  それらは、モータースポーツ参戦のための、いわゆるホモロゲートモデルとしての役割を担っていた。近年は、そうした究極のロードカーだけではなく、製品や商品としての価値をベースモデルと連携させる、従来にないモデルの開発も手がけていたのだ。
  以上のような前提のもとにデビューしたのが、モンデオST220とフォーカスST170だ。STとはスポーツ・テクノロジーを意味し、ベースモデルの延長線上に位置づけられる、手が届きやすく信頼感ある高性能派生モデルだ。
  まずは、ST220から紹介しよう。エクステリアは、一目でベースモデルとの違いが分かる演出がなされている。前後バンパーにはメッシュのグリルをはめ込み、エアダムスカートと一体化。225/40R18サイズのタイヤを納めるフロントフェンダーは、バンパーとの連携で張り出しが強調されるデザインに変更されている。インテリアには、レカロの本革張りスポーツシートを装備する。
  3リッターのV型6気筒24バルブDOHCエンジンは、専用開発のピストンやコンロッド、カムシャフトや吸排気系を採用し最高出力226psを発揮。アクセル操作に対する応答性の鋭さや、高回転域の伸びのよさが実感できる特性が与えられている。しかも、大径のツインエキゾーストパイプからは、歯切れのいいサウンドを響かせる。
  15mm低く設定される(タイヤが大径なので車高は標準のまま)サスペンションは、スプリングやダンパーを強化しているが走りの質感は損なっていない。フォードは、ST220をエグゼクティブ向けの高性能派生モデルと位置付けているので、大人の感性に応える走りになっているわけだ。
  惜しいのは、現時点では日本導入の予定がないこと。ただ、モンデオに2.5リッターエンジン搭載モデルが追加されたので、ST220の片鱗は実感できそうだ。
 
  斜めにカットした大径のデュアルテールパイプが高性能ぶりを象徴。全幅は標準仕様と変わらないが、前後パンパーとの連携でフェンダーアーチが強調されたデザインとなる。
  ワゴンもセダンと同様のオプティカルチューン。バンパー下部のスリットは過剰演出気味だがインパクトはある。18インチホイールとのマッチングも上々だ。STルックの登場に期待。
  3リッターのデュラテックV6エンジンをベースに、226ps&28.5kg-mまでチューンナップ。ミッションは5速MTを組み合わせる。このパワーならAT化も可能では?
  シルバーリング付きホワイトメーターパネルをはじめ、シルバーのアクセントが特別なモデルであることを強調。トリム類は光沢のあるブラックのペイント仕上げ。
  シートはサポート性の高いレカロ製のフルレザー。行動派のエグゼクティブの期待に応える仕様だという。他にレッドとライトグレーでコーディネイトした仕様がある。



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