

ランドローバー・レンジローバー
LANDROVER RANGE ROVER

最初で最後の
素晴らしきコラボレーション

沈黙を破り、ついにランドローバーが動き出した。
ここ数年間、自動車メーカー再編の波にもまれ続けたイギリスの老舗ブランドが、完全に復活したのだ。
そう強く印象づけられたのはほかでもない、この新型レンジローバーの完成度によるところが大きい。
その走りはまさに、ランドローバーとBMWのDNAをしっかりと受け継いでいたのだ。

リポート|山口京一 |K.Yamaguchi フォト|ランドローバージャパン
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スコットランドの変化する天候と地形は、新型レンジローバー、開発記号L322の試乗にとってまさに理想的なステージであった。意外に暖かいと思ったのも束の間、粉雪が舞い、突然北海の強風にあおられる。乾いた路面がウエットに変わり、しばらくして雪に薄く覆われ始める。山中は泥濘と岩石と表現するような不整の連続。隠れた草が、路面を一層滑りやすくする。胸をつくような登りと急降下が続く。
L322レンジローバーは、最近では珍しくなった『オールニュー』という形容詞がつく。その数奇な生い立ちと開発については別稿に記すが、私が新型の写真を見たのは昨年10月のことだった。そのときの印象はかなり強烈だったが、いま自然の中で見る新型レンジローバーはまさにレンジローバーであり、初代の造り上げた伝統、機能美と精悍さを取り戻しながら、巧みなデザインの進化を遂げたように思う。

高級ヨットもしくは高性能スピードボートの
雰囲気を醸し出す

レンジローバーの幸運なるオーナーは、このクルマを置ける広い駐車スペースを確保しなければならない。現行型よりひとまわり、いやふたまわりほど大きな新型を数値で比較すると、全長は237mm伸びており、5mにあと50mmと迫る4950mmになっている。ホイールベースは135mm長い2880mmであるが、回転半径を5.8mに抑えたのは評価できるだろう。全幅と全高もそれぞれ67mm、45mm増えている。特徴的なロングノーズはブリティシュ・スポーツカーをイメージしたのだというが、エンジンルームにはずいぶん余裕がある。そっとお教えしよう。実はBMW時代にライツレ博士は、このレンジローバーに新型7シリーズのV12を搭載する計画を持っていたのだ。
ところが、魅力的なインテリアが迎えてくれる前席に収まると不思議と大きさは感じない。これはレンジローバーの伝統である、低いベルトラインによる開けた視界ゆえだろう。現行型ではどうも上半身が突き出しているようで落ち着かなかったが(座高が高いという批判は甘んじて受けよう)、新型は実に快適な着座姿勢となる。
インテリアの革、ファブリック、色調、ウッドと「ファンダリー」と呼ぶ鋳物調パネルなど、トリムラインの選択は多彩だ。基本的な選択肢を並べただけでも、紙数が尽きる。さらに、これらの組み合わせで満足しなければ「オートバイオグラフィー(自叙伝)」と称する特注システムも用意される。悍さを取り戻しながら、巧みなデザインの進化を遂げたように思う。

オンロードでのドライバビリティは
まさに高級サルーン

一般路の100km/h巡航は静かで快適そのものだった。BMW製DOHC32バルブの4.4リッターV8は、踏み込むと適度にスポーティな唸りを伝える。ATはZF製で、スタンダードとエコノミーの2モードに加え、マニュアルモードのステップトロニックもある。シフトはなめらかだ。公表性能は最高速度208km/h、0〜100km/h加速は9.2秒と俊足だ。
高速域の直進安定性も格段に向上しており、北海から吹く強風に対しても良好な反応を示した。初期応答とステア感覚に優れた新設計のラック&ピニオン速度感応型パワステの仕上がりも良好で、微修正はごく楽だった。このフィールは、もはやSUVや4×4の領域を超えたといえるだろう。タイヤは255/60R18が乗り心地、音ともにベストだった。255/55R19も用意されるが、こちらは見栄えやハンドリング指向。オプションで20インチもあるが、これはちょっとやりすぎの気がする。
現行型の弱点であった風切り音のレベルもセダン級となった。ブレーキは、キャリパーにBMWの文字が入った巨大なディスクを4輪に用いている。ダイナミック・スタビリティ・コントロール(DSC)と称するシステムは、ABS、降坂制御HDC、EBD、ブレーキアシストを統合する先進技術である。制動力、踏力、剛性感ともに第一級だった。
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「オフのロールス・ロイス」と称されるレンジローバーは、インテリアにもさらなる高級感を盛り込んだ。豪華クルーザーを意識してデザインされたというそれは、シンプルな中にも贅沢にウッドをあしらうなど大胆な造形。ドライブコンピューターやナビゲーションシステムに対応したワイドモニターを中央上部に備えるなど、機能性も高い。ヒルディセント・コントロール(HDC)とローレンジへの切り替えスイッチはAT下に。

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全体の造形は初代に近い。スッキリとしてモダンな中に、一段高められたボンネット両端や「フローティング・ルーフ」と呼ばれる屋根のデザイン処理といったレンジローバー伝統の要素がしっかりと盛り込まれている。 |
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上下分割式のテールゲートは新型にも受け継がれている。ラゲッジルーム容量は22リッター増え、 535リッターに。テールゲート下部は大人ふたり分の重量にも耐えられる強靱な設計。 |
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| シートはファブリック、ブレンハイムレザー、オックスフォードレザーの3種類からチョイスが可能。カラーはパイピングやダッシュボードの組み合わせを考えると、膨大な数に及ぶ。
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