

エム・ブイ・アールM3 MVR BMW M3

妥協なき戦闘力の追求

積極的にレース活動を展開するMVRがそのノウハウを惜しみなくつぎ込んだM3。
注目はコンピュータと排気系チューンにより獲得したおよそ360psというピークパワー。
足回りも、それを受け止めるだけの骨太な仕上がりだった。

リポート|斉藤 聡|S.Saito フォト|信原 博|H.Nobuhara
 

絶妙なバランスをみせるエンジンとシャシー

MVRは、シュツットガルト郊外のレオンベルグに本拠を置く、ドイツにおけるBMWの有力ディーラーでもある。そして、BMWマクラーレンF1でGT選手権に参戦、そのレース活動を通じて得たノウハウをベースにチューナーとしての活動を展開している。
それだけに信頼性は高く、新興BMWチューナーでありながら、すでにドイツはもとよりヨーロッパ圏内で人気を集める赤丸急上昇のチューナーだ。日本での輸入販売はライツインターナショナルが手がけている。
今回試乗したのはM3ベースのチューンドで、昨秋のフランクフルト・ショーで展示されていた車両とまったく同じ仕様となっている。エクステリアではスポーティなフロントスポイラー、リアディフューザー、リアウイングを装着。ホイールはオリジナルの5本スポーク19インチで、フロント245/35ZR、リア275/30ZRサイズのミシュラン・パイロットスポーツが組み合わされる。
足回りは、アイバッハ製スプリングとビルシュタイン製ダンパーをベースにセッティングされた、オリジナルのMVRサスペンションキットに変更。さらにECUロムチューン、72φの2×2本出しマフラー等が装着される。
ちなみに、コンピュータ(ECU)のロムチューンはユニークな手法を採っている。まず、ライツの手によって日本で現車のロムデータを読み取り、そのデータを本国に送る。しかる後に、現地のMVRで書き換えられたデータが返送されてきて、それを再び現車にインストールして作業完了、という流れになっている。
さて、そのMVR・M3だが、エンジンのフィーリングはノーマルM3の吹け上がりをひと回り骨太にしたような感触。具体的には、5500rpmくらいまでの中回転域で燃調をややリッチに、それ以上の回転域ではリーンにセットしてあるような印象を受ける。
明確にそれと分かるほどではないから、あるいはマフラーとの相性でそうしたフィーリングが出ているのかもしれないが、中回転域ではトルク感が厚く、そこからレブリミットに向けてパワーが伸び上がっていくようなフィーリングだ。体感的なパワーは350〜360psくらい、あるいはもう少し出ているかもしれない。
足回りは引き締められており、ムダな動きがきっちりと抑えられている。さらに、このサスキットはトラクションがよくかかるところに特徴がある。もちろん、リアに履く275サイズの極太タイヤが寄与しているのも間違いないが、コーナーの立ち上がりでアクセルを踏み込んでいくと、面白いようにリアに荷重がかかってクルマをグイグイと押し出していく。
だからといってアンダー傾向が強いわけではない。むしろ旋回は得意なほうで、引き締まっていると感じられた足回りは、ブレーキングからステアリングを切り出してターンインに入ったときに、スムーズにフロントタイヤのグリップを引き出し、切れのいい回頭性をみせてくれる。
ギリギリまで旋回スピードを上げていくと、旋回半ばでややアンダー傾向がみられるが、コーナーの立ち上がりに向けてパワーをかけていくと、そのアンダー傾向がスーッと消えて、前後タイヤのバランスがきれいにとれる。あくまでパーツの性能を引き出して戦闘力を高めていく、といった方向でセッティングを煮詰めているようだ。
また、そうしてダンパーやタイヤの性能を引き出しているため、電子デバイスであるDSCやトラクションコントロールをオンにしたままでいると、限界近くでクルマの動きに違和感が出る。むしろ、これらをすべてオフにしたときのほうがずっとフィーリングがいいし、クルマのセッティングもピタッと決まっている。さらに、もうすぐ完成するというブレーキシステムが加われば、相当な戦闘力を秘めたロードゴーイングスポーツになることは間違いないだろう。
ストリートカーだからといった妥協が一切なく、個々のパーツ性能をひたすら高めようとする姿勢がヒシヒシと伝わってくるMVR・M3。総合的にバランスのとれた、完成度の高いクルマに仕上がっていた。
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エクステリアはフロントスポイラー(140,000円)、リアディフューザー(108,000円)、リアウイング(128,000円)で精悍さをアップ。足回りはビルシュタイン製ダンパーとアイバッハ製スプリングの組み合わせとなる。サスペンションキット(280,000円)、スプリング(77,000円)。
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細身の5本スポークが大口径を強調する「MVR MAGNUM」。フロント8.5×19(95,000円)、リア9.0×19(98,000円)。タイヤサイズはフロントが245/35ZR、リアが275/30ZR。 |
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ドイツ本国とデータをやりとりするコンピュータチューンと、マフラーにより獲得したパワーはおよそ360ps。ノーマル比10〜15psのパワーアップは確実だという。同チューンの受付開始は4月下旬からとなる。 |
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出口76φの2×2本出しリアマフラー(225,000円)。コンピュータチューンとの組み合わせでパワーアップに寄与し、中回転域でのトルク感の向上をもたらしている。 |
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コンプリートモデルは、MVRのロゴが入ったレザー製のレカロシートが装着される。なお、同車には装着されていなかったが、ショートシフト(96,000円)も用意されている。 |
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| コンプリートカー専用品として、MVRのロゴが入った340km/hスケールメーターも装着。さらにダッシュパネルにもMVRのロゴ。ちなみに、MVRでは現在ブレーキシステムを開発中。 |
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