

アルファ・ロメオ アルファ156GTA/2.0JTS
Alfa 156 GTA/2.0JTS

美しいジャジャ馬

アルファ・ファン注目のニューモデル、156GTAの国際発表試乗会が、この2月の初旬、イタリアはシシリア島で開催された。
が、これは、実はマイナーチェンジが実施された新しい156シリーズのお披露目の場でもあった。
嬉しいことに、ここに登場の新型はいずれもすこぶる魅力的なアルファだった。

リポート|小倉正樹|M.OGURA(本誌) フォト|フィアット・オート・ジャパン
 

よく調教されてはいるがウデに覚えのある人向け

アルファ・ファンにとって、GTAは待ちに待ったモデルである。昨年の秋、トリノで発表されたGTAは、いまや純アルファ時代からの唯一の生き残りである60度V6を排気量アップ、最高出力を250psまで高めたというエンジンを搭載、その高出力に対応してサスをあらためて開発し直したというものだった。それは低められた車高に17インチのタイヤ&ホイール、控えめだが、ノーマルとの違いは明らかというボディパーツも加えられて、なかなか魅力的な仕上がりとなっていたのだ。
実際、シシリア島で初めて接したGTAの実車も、やはりノーマルとは異なる強い存在感を持っていて、年季の入ったアルファ好きであるリポーターをもクラクラとさせるオーラを放っていた。そのエンジンはアイドリング時、少しバサバサした排気音を聞かせ、走る前から興奮を誘う。
排気量アップの手法は、従来の最大排気量であった3リッターを、ボア93mmはそのままに、ストロークを7.4mm伸ばして78mmとしたもので、プラス220ccの3179ccを獲得している。ブロックはもちろん、コンロッド、クランクシャフトも新設計となる。圧縮比は10.0から10.5に高められて、その公表スペックは最高出力が250ps/6200rpm、最大トルクが30.6kg-m/4800rpmというもの。アルファの自慢は、高出力を誇りながらも、低回転域のトルクが厚く、とても扱いやすいユニットになっている点だ。ミッションは6速マニュアルと6速セレスピードが用意される。
フロントがダブルウイッシュボーン、リアが長いパラレルアームにストラットという組み合わせになるサスは、新しい3.2リッターユニットに合わせてマウント部の剛性を強化すると同時に、ブッシュも強化タイプに変更されている。フロントはロワアーム自体の剛性を上げ、リアはアーム類のマウントの部位さえ変更、特にジオメトリーの設定が注意深く行なわれたとのこと。スプリングのバネレート、ショックアブソーバーの減衰力ともに引き上げられているのはいうまでもない。
試乗の順番がようやく巡ってくる。試乗車は6速マニュアル仕様だ。ヘッドレストとバックレストが一体式になった新デザインのフロントシートに腰を落とし、147と同じデザインになったステアリングを握ると、気分はいやがおうにも高揚してくる。
最初に驚かされたのは、より一層鋭さを増したエンジンの回転上昇だ。1速、2速は本当にアッという間に吹け切ってしまう。その過程で生み出されるパワーは圧倒的で、試しにASR(アンチ・スキッド・レギュレーション)をオフにすると、低いギアでフルアクセルをくれた途端、タイヤがスキール音を発するほど。トルクにしても、これまでのアルファV6からは想像できない太さ。5速や6速でも、2000rpmもあればコト足りて、そこからの加速も不満をいうことなく受け付ける!
驚きはさらに続く。ステアリングの操作フィールに雑味がなく、非常にスッキリとして、しかもガッチリとした取り付け剛性が感じられたのだ。ステアリングはギア比が早められてもいる。なんと、ロック・トゥ・ロックは1.75回転でしかない。
だから、GTAのドライビングは、ドライバーがそれを望む、望まないは別にして、きわめてエキサイティングなものとなってくる。ステア特性は、より重くなったノーズもあって、常識的には強いアンダーを意識させるはずだが、現実にはそれほど強いとは感じられない。それよりなにより、必要とあれば故意にリバースステアを引き出して、小さくコーナーを回り込むといった芸当も許す、ウデに覚えのあるドライバーを唸らせるサス・セッティングになっていることに感心するのだ。
とはいえ、このGTAは、一般的にいえば手がつけられないジャジャ馬だ。路面が雨や埃で少しでもμの低い状態であったりすると、ASRオンの状態では思うように前に進んでくれないし、もしASRをオフしたなら、不用意なアクセルオンでたちまち暴れ出してしまう。いってしまえば、過剰性能。だからこそ、非常に魅力ある156ともいえるのだが……。
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フィアットが156GTA、マイナーチェンジを受けた156シリーズの発表試乗会に選んだのは、シシリア島のかつてタルガフローリオが開催された地。アルファが栄光の歴史を刻んだところだ。 |
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ホイールは7.5J×17で、組み合わされるタイヤは225/45ZR17。ブレーキはこのフロントが308mm径のベンチレーテッド、リアが276mm径のソリッドと、前後とも大径化され、キャリパーにはブレンボ製を採用する。 |
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GTAの試乗車にはキセノン・ヘッドランプが装着されていたが、これはGTAでもオプション。GTAのエンブレムはリアのこの位置のみ。しかし、少し雰囲気が異なるボディパーツで、これを見ずともすぐにそれと分かるはず。とはいえ、この3文字は高性能車の象徴として、アルファ・ファンの熱い視線を浴びることになるはずだ。
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GTAの名がついて、ドライビングが面白くないわけがない。トップスピードは250km/hに達し、加速データは0〜100km/hが6.3秒、0〜1000mが20.7秒。この高性能は、年間2000台しか提供されないという。 |
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ついに3.2リッターにまで拡大され、250psのパワーを得るに至ったアルファ伝統のV6ユニット。そのサウンドは少し低くなり、くぐもったようでもあるが、なお官能的だ。 |
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さすがにハーシュネスがややきつめになっているが、それでも乗り心地は極端に悪くなっておらず、この空間の快適さはちゃんと保たれている。少し大げさなような気もするが、GTA専用のアルミペダル、それにサポート性を高めたシートなどがスポーティな雰囲気を演出する。 |
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