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コラム

有名ブランドが売り買いされる時代(2/5)

ブランドとは何か
有名ブランドが売り買いされる時代(2/5)

ジャガーやアストンマーチンにブランド力があることは誰もが認める。だから売りに出れば買い手がつく。ではレクサスが仮に売りに出たとしたら…?
[2008/04/04]

ブランドって何?

レクサスにワールドクラスのブランド力があるか?その前にまず、ブランド力とは何であるか。この点について考えてみたい。

まわりにいる友人や知人に「ブランド力って何」ときいてみると様々な回答があった。「伝統と歴史に裏打ちされた技術」、あるいは「職人芸」、「ほかには真似のできない技術」など。「暖簾代」、「信頼性の高さ」という答えや、「自分を代弁して表現してくれるもの」というのもあった。シニカルに「自分の見る目に自信がない人が選ぶもの」と答えたのもいた。

いずれもブランドについてある一面をとらえているようだが、そのあたりの判断は読者に任せたい。ここではまず教科書的にブランド力とはどういうものかを、自動車、特に高級乗用車を念頭に紐解いてみたい。そしてこの考えに基づいてレクサスのブランド力というものを検証し、冒頭にあげた仮説「レクサス・ブランドを買うメーカーがあるだろうか」について考察を加えてみたい。

ブランド力あるいはブランドパワー。マーケティング論などでよく定義されているものとして次のような考えがある。つまり「知名度」「信頼度」「特徴」の3つの要素が備わっていることが強いブランド、あるいはパワーブランドであると。それぞれの要素の関係を簡単にいうと、「知名度」と「信頼度」が基盤を作り、その上に「特徴」が備わるという構図だ。基盤とはまさにブランドの土台のようなもの。それが無いとどんなに優れた特徴があっても消費者から見向きもされない。それはいわば「マーケット劇場」への「入場券」のようなもの。その概念を図に表した。各要素は「読んで字のごとく」かも知れないが念のために簡単な説明を加える。


ブランド力に必要な要素と、その見返り

「知名度」
つまりあるブランドを知っているかどうかという最も基本的な要件。どんなに優れた商品や会社名でも知られていないと始まらない。知名度がなくても「知る人ぞ知る」でいいといったようなアプローチも確かにある。しかし、それは狭いターゲットを対象にしているようなブランドに限られる。アメリカにCello(チェロ)という「超」がつくほどの高級オーディオ・ブランドがある。街行く人にきいたら九分九厘「知らない」と言うはずだが、一部のオーディオ・マニアにとっては垂涎の的である。Celloは年に何万台もオーディオ・アンプを売るつもりのないブランドなのでこれでよい。でも年に何万台もクルマを売ろうとするなら大いに問題あり、だ。

「信頼度」
これはブランドの基盤を築く上で重要な要素である。文字通り、お客様がある商品やサービスを購入しても「大丈夫」と思うかどうか。「買っても壊れない」、「期待通りの効用が得られる」、「自分だけ人より高く買わされていない」、「会社が反社会的なことをしながら作った商品でない」などなど…。いずれも分かりきったことだが実現するとなるとそれほど簡単ではない。典型的な「言うは易し」の例である。

「特徴」
他のメーカーやブランドとはひと味違う「何か」を備えていること。ただ違うだけでなく、ユーザーの琴線に触れるような「何か」。人間の欲望に何らかの形で訴えかける「何か」。ここでは「魅力的な特徴」と呼ぶことにしよう。これは前記の「信頼度」と異なり「言うは易し」ですらない。それが何であるかをまず見つけ出すのが難しい。また、その「何か」が仮にみつかったとしてもそれを実現させることが通常は容易でない。ブランドを決定づける上で最も難しい部分かもしれない。

次に苦労してこれらの要素が備わったブランドを築いたとして何かいいのことあるのか。

ユーザー側からみれば気まぐれにブランドを好き嫌いで選べば良い。しかし、会社を経営している側からみればブランド力を育て上げることは投資だ。投資には見返りが期待される。その見返りとは「ブランド代が取れる」ことと「息の長い商品・サービス」の両立だ。これがあると会社の経営も安定する。例えば、BMWも黎明期は経営が安定していなかったが、スポーツセダンの元祖とも言われる2002を発売したころからずっと収益を出しており台数も伸びている。ローバー買収での失敗が唯一の汚点か(?)。ダイムラー社もクライスラーから手を引いて昨年は十分な黒字を計上して本来の強さを取り戻したことなどが挙げられよう。

文:白洲輪太郎
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