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コラム

有名ブランドが売り買いされる時代(1/5)

「頼むから俺の女になってくれ。レクサスを買ってあげるから」
有名ブランドが売り買いされる時代(1/5)

ジャガーやアストンマーチンにブランド力があることは誰もが認める。だから売りに出れば買い手がつく。ではレクサスが仮に売りに出たとしたら…?
[2008/04/02]

有名 イコール ブランド力?

「頼むからオレの女になってくれ。レクサスを買ってあげるから・・・」

これは筆者がアメリカ駐在中にお笑い番組(ラジオ)の中で実際に聞いたフレーズ。1999年のことだ。何気ないフツーの番組に「女性が欲しいもの」の象徴としてレクサスの名前が登場する。1989年にレクサスが米国デビューしたときも米国に駐在していた筆者としては感慨深いものがあった。なにしろ件のラジオ番組を聴いた僅か10年前のこと。立ち上がったばかりの当時のレクサス・ブランドに対し誰もが懐疑の目でみていたのだ。日本の、しかも後発のプレミアム・ブランドが果たしてアメリカ人に受け入れられるのだろうか、と。それがあっと言う間にラジオ番組にも登場するほどメジャーになっているのだ。アメリカで言う”household name.” つまり、今やレクサスはどの家庭でも知られているほど有名な名前となっているのだ。

一昔前なら「買ってあげる・・」のが「レクサス」ではなく「ジャガー」であったに違いない。日本人にはその方がピンとくるかもしれない。でもそのジャガー・ブランドも今や二人目の里親に売られようとしている。Eタイプに憧れた「三丁目の夕日」世代は複雑な気持ちでこの事態を見守っていることだろう。しかし一方で、まだ引き取り手がいる、というのも事実。腐っても鯛。フォードから里親を引き継ぐと思われるインドのタタ社はジャガーのブランドがまだまだ商売になるとみているのだろう。ジャガーのこの魅力はどこからくるのだろう。筆者はまずこの点に興味を抱いた。


世界のレクサス

自動車は高度な技術が必要とされる高額商品なので新規参入が容易でないと言われる。高級車ならなおさらだ。だから短期間のうちにそれなりの地位を獲得できたレクサスは凄い。日産のインフィニティやホンダのアキュラもそこそこ頑張ってはいるが、レクサスがビジネス面でも知名度でも一歩も二歩もリードしている。

レクサス・ブランドのクルマは破竹の勢いで売れている。昨年の全世界での販売台数は50万台強。全世界レベルではまだBMWやダイムラーの3分の1程度だがレクサスの「母国」アメリカではドイツの両雄に対して大健闘している。2007年こそ競馬で言うところの「写真判定」程度、つまり僅差でBMWに負けたが、2006年は両社に勝っている。またいくつかの新興国の高級車市場ではトップに立っている。遅れて参入した欧州はこれからだが、レクサスがすでに世界中で認知されたブランドになったと言えるだろう。

こうやってみると間違いなく商品力という点でレクサスは一流の仲間入りをしている。でもレクサスには欧州の有名ブランドと同等のブランド力があるといえるだろうか。商品が売れているからブランド力がある…とは必ずしも言い切れない。それは時計の世界などを見ればわかる。筆者はこの点が気になってこのテーマを取り上げることにした。

文:白洲輪太郎
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