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小型車向け 7-speed DSG
Volkswagen

燃費良し、エミッション良し、パフォーマンスも良し
小型車向け 7-speed DSG

フォルクスワーゲンは、以前から開発していた7速DSGミッションを完成し、正式発表した。最大トルク250Nm以下のエンジンと組み合わせ、今後大量生産する計画だ。
[2008/01/29]

シフトチェンジが、素早く、無駄なく、簡単に

DSGの正式名称は、「ダイレクト・シフト・ギアボックス」という。クラッチペダルのない、オートマチックミッションの一種で、5年前、フォルクスワーゲンが世界で初めて一般車に採用した。アウディにも採用されており、「Sトロニック」と呼ばれている。

通常のオートマチックミッションとは違い、DSGにはマニュアルミッションと同様のクラッチがある。だがクラッチペダルはなく、ドライバーの代わりにミッションがクラッチ操作を行う方式をとる。つまり、ドライバーはシフトレバーかステアリング付近のスイッチを操作するだけでいい。これは単純にクラッチ操作を省いただけのセミオートマチックとは違い、ギアの選択を自動的に行うDレンジモードもある。クラッチペダルがないので、オートマ限定免許での運転が可能だ。

DSG最大の特徴は、クラッチと出力軸が個別にあることだ。通常のミッションでは1本の出力軸をすべてのギアが共有するが、DSGでは偶数ギア用の出力軸と奇数ギア用の出力軸を分け、それぞれにクラッチを配している。通常のミッションでは、1速ギアでの走行中に2速ギアはシンクロしていない。シフトアップするにはクラッチを切り、ギアを1から2に変更し、クラッチをつなぎ直す必要がある。これに対しDSGでは、1速で走行している間の2速ギアはもう片方の出力軸を使ってシンクロが終わっており、クラッチが切られた状態で待機していることになる。だから、シフトアップは1速側のクラッチを切ると同時に2速側のクラッチをつなぐことで行われる。ちなみに、2速での走行中は、片方の出力軸で1速と3速が待機している。これはギアの切り替え作業の一部を事前に済ませておくやり方なので、通常のミッションに比べて短い時間でシフトチェンジでき、0-100km/h加速などの性能を向上させる効果がある。もともとは80年代のポルシェのレーシングカー用の技術であったものなのだ。

さらにトルクコンバータを使用していないので、エネルギーの損失が少なく、燃費やエミッション性能に優れる特徴を持っていることも書き添えたい。DSGが登場した頃は、ブレーキを離すとクルマが動いてしまうといったクリープ現象がない点や、発進もトルクコンバータ式と比べて唐突感が強いなどの指摘があった。しかし現在はすべての問題をクリアし、トルクコンバータ式と変わらぬ操作が可能になっている。

誕生から5年の間、DSG装着車の比率は上昇を続けていて、パサートヴァリアントなどは昨年販売された新車の28%がDSG装着車であったという。市場からの支持はこれからも続くと見込んだフォルクスワーゲンは、既存の6速DSGの増産と同時に、小型車向けの新型7速DSGの投入を決定した。

乾式クラッチと7速ギアの採用で、燃費が向上

これまでの6速DSGは、クラッチがオイルに浸された湿式クラッチを採用していたが、新しいDSGではクラッチをオイルに浸さない乾式(通常のマニュアルミッションと同じ方式)に変更されている。これにより、従来は内部に6L使われていたオイルが1.7Lで済むようになり、大幅な重量低減が可能となった。また、素材の変更やシステムの小型化なども行われたため、ミッションの重量が従来の93kgから70kgへと減少し、燃費向上やエミッション減少に貢献することになった。

今回決定された7速に多段化したことによるメリットは、エンジンスピードや負荷など、より細かい制御が可能になったことである。より適切なエンジンスピードを得られることは、スポーティな走りを支援するだけでなく、燃費やエミッション性能の向上にも役に立つのだ。開発チームの検証によれば、この7速DSGを装着したゴルフTSI(122ps仕様車)の燃費は、6速マニュアルミッション装着車に比べて0.2L/100km向上して5.9L/100km(16.94km/L)を記録しているという。

7速DSGは小型のため、最大トルク250Nm以下のエンジンでなければ組み合わせられず、当面はゴルフ、ゴルフヴァリアント、ゴルフプラスのTSI(90kW)またはTDI(77kW)搭載車に限って装着される。しかし、これらの車種は販売台数が多い。Kasselにある生産工場では、現在は750機/1日で準備されている生産体制を、なるべく早い期間で1500機/1日にするという。同時に6速DSGの生産も増産し、DSG全体の需要拡大に対応する方針だ。フォルクスワーゲンのDSGは増加の一途を辿るようだ。

Report:染谷英一郎
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