独フォルクスワーゲンが、70年代に誕生した人気車“シロッコ”を現代風に解釈し直したというデザインスタディ「Iroc(アイロック)」を発表した。VWが市販の可能性を仄めかすこのコンパクトカーは、パリサロンに出展される予定だ。
デザイン重視の実用車
フォルクスワーゲンがこのたび発表したコンセプトカー「Iroq」(アイロック)は、いまから33年前のジュネーブショーで発表された、“シロッコ”を現代に蘇らせたとするデザインスタディだ。ジョルジュエット・ジウジアーロが手掛けたそのクルマは1973年に発売され、累計50万台以上が生産されたというヒットメーカーとなった。日本でも75~89年まで販売されていたので、その姿を鮮明に覚えている人も多いだろう。
が、その記憶が鮮明であればこそ「このコンセプトカーのどこがシロッコなの?」と疑問に思う人もいるはず。シロッコといえば、エッジの効いたラインを持つクーペスタイルがデザイン上の特徴であった。対してアイロックは、丸みを帯びた典型的なハッチバックスタイルである。つまりこのクルマは、単に過去の作品を模倣した懐古調デザインをウリにするのではなく、その時代の実用車としてオーソライズされた基本シェイプをベースに、ユニークかつ官能的に仕立て上げた、“デザイン重視の実用車”であるところをシロッコから受け継いでいるということだろう。
たとえば、ゴルフGTIよりもさらに強烈さを増した六角形のハニカムグリルなどは、フォルクスワーゲンが手掛けたアルファロメオ? と聞きたくなるほどデザイン性を全面に打ち出したもの。他にもピラーの存在を目立たなくしたウインドフレームやワイドタイヤに引っ張られて伸びたような立体的なフェンダーなど、ディテールまで凝ったデザインとしている。
その一方で、大人4人が乗れるフル4シーターとして設計されたキャビンや、トランクに十分な広さを確保したという荷室は、ただカタチだけを求めたクルマではないことをうかがわせるポイント。フォルクスワーゲンはアイロックがそうした実用性を兼ね備えていることを理由に挙げ、「量産モデルとして実現しうるパッケージ」と市販化の可能性を仄めかしている。ちなみにボディは全長4240mm×全幅1800mm×全高1400mmと、ゴルフより少し大きい程度で現実的といえるサイズにおさまっている。
パワートレインもまた、量産エンジンをベースに独自性を打ち出したものとなっている。ベースとなっているのは、もはやフォルクスワーゲン・ブランドの中核ユニットといえる2リッター直噴ターボ。それをベースにスーパーチャージャーを組み合わせた「ツインチャージャー」とすることで、低回転域でトルクが不足しがちな小排気量ターボの弱点を、スーパーチャージャーで補い高回転まで力強く吹き上げるものとしている。最高出力は210psと十分パワフルだが現実的なスペックともいえるだけに、このツインチャージャーエンジンもその気にさえなれば量産は十分ありえそうだ。
Report:曽宮岳大
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