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ボルボ リチャージコンセプト
Volvo

最初の約100kmは燃料消費ゼロ!?
ボルボ リチャージコンセプト

ボルボカーズ社が開発を進めているハイブリッドカーは、電気自動車が基本で、エンジンはバックアップ用として使う方式。日常生活においては、ほぼゼロエミッションになるというが、その仕組みと実用性は?
[2008/01/21]

各ホイールに内蔵されたモーターが動力源

ボルボの小型ハッチバック車C30をベースにしたコンセプトカー、その名も「リチャージコンセプト」には、109hp(約81kW)を発生する4気筒1.6Lのディーゼルターボエンジンが搭載されている。しかし、車両の動力源は各ホイールに内蔵されている4つのモーターで、エンジンとホイールの間は全く接続されていない。これが他のハイブリッド車と一線を画す、大きな違いである。

エンジンには大容量の発電ユニットが接続されており、そこで発生させた電気をバッテリーに蓄える。つまり、言い換えればこれは発電機を搭載した電気自動車なのだ。バッテリー残量が30%を切るとエンジンは自動的に始動して補充電作業を始めるが、ドライバーが任意で始動させ、前もって充電させることも可能だ。既存の燃料を使用する点が異なるが、システムの概要は、燃料電池車に近いと言える。また充電には家庭用の電源を使うことが可能となるプラグイン機能も併せもっているため、自宅やオフィスでも充電出来るのがユニークな点だ。

リチャージコンセプトのプロジェクトマネージャー、スギオカ・イチロー氏は「他のハイブリッドシステムは、電力はエンジンの走行を補助する役割なので、電力だけによるゼロエミッション状態での走行時間は短期間に限られます。それに対し我々のコンセプトカーは、常に電力で走るのです」と、他のハイブリッドシステムとの違いを説明する。

合計4つのモーターが、ラゲッジコンパートメントに搭載されたリチウム・ポリマー電池から供給された電力で、それぞれのホイールを動かす4WD方式により、モーターの出力は無駄なく動力に転換される。この方式はエンジンと駆動輪をつなぐ、トランスミッションやデフなどのパワートレーンが存在しないので、その分の重量が低減されるほか、メカニカルギアが生み出すフリクションロスがまったく発生しない。これらの効果により、0-60mph(0-96km/h)加速が9秒、最高速度は100mph(160km/h)というパフォーマンスを発揮することになる。

フル充電で60マイル(96km)の走行が可能

家庭用電源につないだ場合、約3時間足らずでフル充電される。フル充電での航続可能距離は60マイル(96km)あり、仮にわずか1時間だけの充電だとしても、約半分の30マイルを走行出来る分の充電が可能だ。つまりフル充電させれば、最初の60マイル(96km)は燃料をまったく使わないで走行が可能ということになる。もし、さらに40マイル(64km)走り続けたとしても、その区間は60mpg(25.5km/L)で走れるので、100マイル全体では150mpg(63.8km/L)という低燃費だというのだ。充電に必要な電気代や発電機として機能するためのディーゼルターボエンジンの燃料代が地域によって違うからだろうか、経済性についての数値は明らかにされていないが、財布への負担は大幅に軽減されることだろう。

しかも、ここで断言出来るのは、二酸化炭素の排出量を大幅に低減可能ということだ。ボルボは特定はしていないものの、現存する最高のハイブリッドシステムと比べても、二酸化炭素排出量は66%減だと発表している。家庭用電源から得られる電力は、その生産過程での二酸化炭素排出量が非常に少なく、さらにディーゼルエンジンとすることで、補充電作業中の排出量も抑えることが出来る。今回のエンジンは、広い適応性を考慮して通常のディーゼルとされたが、さらに環境に良いバイオディーゼルエンジンを採用したモデルも存在するという。

とはいえ、このシステムにも弱点がある。それは1回の走行距離が60マイルを超える場合、それが長くなればなるほどメリットが少なくなる点だ。60マイルという距離は、やはり短すぎないだろうか?しかし、ボルボのシンクタンクは、北米の場合、通勤など日常生活で自動車を使っている人の約80%は、片道60マイル以下しか走っていないことを理由に、リチャージコンセプトは多くの人を満足させられるだろうと考えているという。確かに、もし、それより長い距離を毎日走る人にとっても、ガソリンスタンドで給油する頻度が低くなるのは明らかなため、より多くの人に受け入れられることは予測出来る。

現在、ホイールごとに組み込まれたモーターの出力制御を洗練させるなど、まだいくつかの課題が残されているというが、関係者はコミューターとしての能力の高さと、実用化されれば見込まれる多くの需要に自信をのぞかせている様子だ。

Report:染谷英一郎
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