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試乗インプレッション

スズキ セルボ T
SUZUKI

上質感漂うボディコンシャス軽カー
スズキ セルボ T

セルボはスタイリッシュでスポーティ、上質かつ個性的な新しいジャンルの軽カーを目指したという。それって、けっこう欲張りなんじゃないの!?
[2006/11/27]

プラットホームはワゴンRと共通

 今年は魅力的な軽カーが多く出たが、その中にあって、セルボはめいっぱいデザインコンシャスなクルマだ。数々のヒットを飛ばしているスズキが、あえて「空間や機能追求の箱型デザイン」ではなく、一見アルファ147やプジョー206あるいはフィットを圧縮したようなエクステリアデザインに打って出たのには、それなりの勝算があってのことだろう。今回のセルボのデザインコンセプトは「高いクオリティとスポーティさが融合した躍動感のあるデザイン」だそうだ。

 その「高いクオリティとスポーティさが融合した躍動感のあるデザイン」は、基本的にワゴンRと同じプラットホームの上に乗る。ワゴンRと同じくサブフレームを奢られたフロントサスペンションはボディの剛性感アップに貢献していて、路面からの早く大きな入力に対して不満のない受け止め方をするはずだ。リアサスペンションもその構成はワゴンRとほぼ同じ。フロント&リアともに使われるスプリングも同じレートという。

 違うのは、ツインチューブ式ダンパーの設定変更(オイルの粘性とオリフィス径)とウレタン製バンプストップラバーの採用。そのウレタン製のバンプストップラバーだが、これをテンダースプリングとして使っているところにセッティングの巧さがある。ゴムのバンプストップラバーは体積変化がなくスペース効率には優れているけれど、バネとしての効果はあまりなく、それ以上ストロークさせないための単なるストッパーとして使うケースが多い。

 これに対して、ウレタン製のそれは、バネとしての効果が期待できるので、コイルスプリングと組み合わせてサブスプリングとして使うことができる。セルボの使い方はまさにこれで、ドライバーが乗った1Gの状態からウレタン製バンプストップラバーはテンダースプリングとして機能している。しっとりした乗り心地を作り出すための、このウレタン製バンプストップラバーの貢献度は大きいはずだ。セルボのキャラクターを考えると、足回りにそれほどコストをかけられないから、開発陣はこの2つのシカケで狙う運動性能を作り上げたということか。

上質感を随所に設えたインテリア

 このところスズキのデザインは一皮剥けてなかなかカッコイイ。SX4からイタリアのデザインテイストが濃厚に感じられ、ずいぶんと垢抜けたと思っていたが、このセルボもその延長線にあるようでエッジの立った素敵なデザインだと思う。「これまでの軽自動車とは明確に違うキャラクターを確立すること」が目標のひとつというが、それは立派にはたせている、と思う。

 そのセルボに乗り込もうとドアノブを引いた瞬間、凄いと思った。ノブの開閉に節度感があったのだ。シートに座って閉めたドアの感触もまた良かった。限られたコストで出せる「上質」をけれんみなく出している、と思った。ステアリングに手を添えると、そのグリップ感も良かった。しっとりと手に馴染む感触だった。

 他の軽カーに比べてセルボが狙う「上質」をより多く感じたのは、実はエクステリアよりむしろインテリアだった。重なりあった柔らかい葉っぱをイメージして開発されたというリーフシボが、まずその第一の立役者。そのリーフシボ加工されたインパネが大きく目の前に配置されて、さらにそのリーフシボはドアトリムへと流れていく。

もちろん、専用の型を起こしてまで拘って作り込んだものだから、しっくりこないわけがない。メッキ調の加飾オーナメントをインパネからフロントドアトリムにかけて施しているのも、黒を基調としたインテリアとの対比で「上質」の演出に一役買っていた。シートの造りもしっかりしていて好感が持てるものだった。

ちょっとグリップ感が強いような……

 だから、というわけでもないのだろうが、ターボエンジンに4ATを組み合わせるパワートレーンはほぼワゴンRと共通だ。スズキは同じエンジンで64馬力を発揮させるモデルもあるが、セルボでは低中速を大事にしたということか。もちろん、44kW(60ps)/6000rpm、83Nm(8.5kg-m)/3000rpmを発揮するK6A型ターボエンジンに対して、発進から加速そして定常走行という一連の流れの中に不満があるかと言うと、それはない。必要にして十分というヤツだ。

 操安性にも「上質」というキーワードをどう開発陣が解釈したか、という回答があった。前述のダンパーとウレタンラバーのサスは、ロールスピードの管理もきちんとできていて、しなやかにロールするいい足だった。装着タイヤはBSのポテンザRE030だが、14インチタイヤとの組み合わせはグリップが強すぎ、ちょっとセルボらしくなかった。聞けば、13インチとの組み合わせが本来狙った性能という。

 セルボは、最新メカに拘っているわけではないいし、ソニカのようなGTカー的なキャラが前面に出ているわけでもない。が、これまでの軽カーにない上質感といったものを出そうとするその姿勢は随所に感じ取れた。しっとりと頃合いの保舵力を要求するステアリングフィールに、開発者の「走りの快適性」に対するメーセージが込められているように感じられた。

Report:野澤一幸
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