サーブのメディアムクラス「9-3シリーズ」に、スポーツエステートを名乗るワゴンモデルが登場した。北欧のもうひとつのワゴンはどうなのか?
スウェーデン人の“サーブ”
私の中で“サーブ”といえば、映画『恋愛小説家』の中でジャック・ニコルソンが乗っていたサーブ900カブリオレがまっさきに思い浮かぶ。彼が扮するいかにもインテリな売れっ子作家が、子持ちのウェイトレスに恋をするストーリーは、ちょっぴり切なくて、ちょっぴりほろ苦い。そんな恋愛の小道具に、「アメリカ東部の知識層が乗るクルマ」というイメージのサーブはぴったりに思えた。
たぶん私たち日本人が想像するサーブは、そうした“アメリカのサーブ”なんだと思う。北欧のデザインを身に纏い、ディテールに航空機メーカーらしいモチーフを使ったサーブに乗っている人を見ると、なんとなく賢そうな感じがするのは私だけじゃないはずだ。
でも、今回、デビューしたサーブ 9-3 スポーツエステートは、“スウェーデン人のサーブ”らしい。自然が身近な北欧の人たちは、休日になるとクルマにたくさんの荷物を積んでアウトドアに出かけていく。同じ北欧製のボルボがステーションワゴンをラインアップに揃えるのに対して、サーブは長年、セダンとリフトバックでそうした需要に応えてきた。2003年に登場した現行9-3が当初はセダンのみだったが、やはりスウェーデンの人たちにとっては5枚目のドアが必需品だったのだろう。ヨーロッパで「9-3スポーツコンビ」を名乗るのは、ワゴンと5ドアハッチバックの「コンビ」であることを訴えているから。逆に、英国由来の「エステート」という日本名は、なんとなくヨーロッパの息吹を感じさせるような気がする。
このクラスのステーションワゴンはサーブでは初めての試みだが、ぱっと見ただけでも「北欧」「航空機メーカー」といったサーブらしいエッセンスがふんだんに散りばめられている。セダンと比べて、75mm高くなったリアスタイルを引き締めているクリアランプはアイスキューブをイメージしたものだし、CピラーからDピラーへつながる面はアイスホッケーのスティックからインスピレーションを得ている。荷室のフロアには飛行機をモチーフにしたオブジェ……ではなく、床下収納にアクセスするための取っ手だったりする。
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