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試乗インプレッション

Peugeot 207 GTi
Peugeot

「羊の皮を被った狼」ならぬ“猫顔のライオン”
Peugeot 207 GTi

ラテンのコンパクトカーは数々あれど、この日本で長年人気を集めてきたクルマといえば、205、206、そして207と進化してきたプジョーの2シリーズ。その最新版最強モデルが207GTiだ。
[2008/03/21]

オトコのコンパクト

切れ長の眼に大きく口を開けた“猫顔”がすっかり板に付いたプジョーのなかで、もっとも身近な存在といえるのがコンパクトクラスの207シリーズ。日本では2007年に販売がスタートしたばかりなのに、ベーシックなモデルからホットハッチ、さらにはクーペカブリオレのCCまで、あっというまにラインアップを充実させ、幅広いファンのニーズに応えている。

ラテンのコンパクトカーらしいオシャレな雰囲気が多くの女性を魅了する一方、クルマ好きの男性にとっても見逃せないわけは、とびきりスポーティなモデルが用意されるからだ。それこそが、海外では「207RC」を名乗る207GTiである。

特別なモデルであるにもかかわらず、エクステリアでの主張は意外に少ない。シルバーのドアミラーカバーやツインエグゾーストパイプなど、見る人が見ないとわからないほどの違いなのだ。しかし、猫顔の奥にはライオンの心臓が潜んでいた。

1.6Lの直噴ガソリンターボエンジンは、BMWグループと共同で開発した最新のタイプで、175psの最高出力を6000rpmで絞り出す。1260kgのボディにこのハイパワーだから、期待はおのずと高まってしまうが、本当に注目したいのはこのエンジンのトルク特性。わずか1600rpmから4500rpmの広範囲で最大トルクの24.5gkmを発揮するのは心強い。しかも、3~5速ならフルスロットルで約2kgm(20Nm)のトルクアップを図るオーバーブースト機構が働くというのだから、ハイスピード時には鬼に金棒だ。用意されるトランスミッションが5速マニュアルのみと、ドライバーを選ぶところが惜しい反面、やはりホットハッチはマニュアルで楽しみたいというのが私の本音だ。

ライオンの心臓を持つ子猫

ドアを開けると、サイドサポートが大きく張り出す専用のバケットシートが、強烈な存在感を放っている。程よい張りと抜群のホールド感を誇るドライバーズシートに身を任せると、にわかに気持ちが高ぶってきた。

サイドブレーキをリリースしてさっそく駆け出すと、専用のスポーツサスペンションがGTiの名にふさわしい、ハードな味付けであることに一瞬たじろぐ。とろけるようにマイルドな味付けのベーシックモデルとはまるで別物だ。しかし、ダンパーの内製にこだわるほどのプジョーのこと、乗り心地の硬さに街中では少しガマンが必要でも、ワインディングロードにステージを移せば、そこまでの苦労をメモリーから一瞬で消し去るだけの爽快さを持っていた。ロールを抑えながらも、しっかりとストロークするサスペンションは執拗に路面を捉え、中高速コーナーならまさにオン・ザ・レールの感覚。タイトコーナーでもその軽快なハンドリングが光る。

低い回転から強力なトルクを湧き出すライオンの心臓は、2000rpmを超えたあたりからますます活発さを増し、どこから踏んでもドライバーの期待に応えるのが頼もしいところ。スペック上は4500rpmでトルクが下降するはずなのに、体感上は勢いに衰えが見えない。状況によってはトルクステアに見舞われることもあるが、そのパワーを使い切れるだけのシャシー性能が備わることは、いうまでもない。

「羊の皮を被った狼」ならぬ“猫顔のライオン”を手懐けるのは難しくない。必要なのは、飼おうという勇気だけだ。

Report:生方 聡
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