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試乗インプレッション

プジョー308
Peugeot

伝統の乗り心地とハンドリングは健在
プジョー308

先のフランクフルト・モーターショーにてデビューしたプジョーの新しいハッチバック「308」を試すことができた。同社の主力モデルである307の後継車の走りはいかに?
[2007/11/02]

407、207と続くダイナミックなフォルムを継承

今年6月に発表、ヨーロッパでは9月に発売されているプジョーの新作308。その写真を見て、207に似ていると思った人は多いだろう。プジョー創業の地であるアルザス地方のコルマール空港で実車に出会った僕も、まったく同じ気持ちだった。

407、207と続いた「フェリーヌ」、つまりネコ科っぽい顔つきに始まるダイナミックなフォルムを、308も受け継いでいる。背の高さゆえにモノスペース風に見えた307よりはるかに勢いがある。でもハイトはある。全高は12mm低められたものの、1498mmとほぼ1.5mある。

前作307はこのクラスに1.5m級のチョイ高ボディを持ち込んだ先駆者でもある。その後フォルクスワーゲン・ゴルフをはじめいくつかのモデルが採用したこのコンセプトが、2001年のデビュー以来320万台を売った実績につながったと彼らは分析している。だから今回も「セミトール・アーキテクチャー」を継承した。

継承といえば、308のプラットフォームはホイールベースやサスペンション形式を含めて307と同じだ。そのうえでプジョーのウリであるハンドリングをさらにレベルアップすべく、トレッドを約30mmワイドに。さらに衝突安全性や室内空間拡大を目的に全長は4276mm、全幅は1815mmと、74mm長く53mm広い。

日本では1.8mを越える幅が気になるところ。その点をプジョーのスタッフに尋ねると、「上のクラスはこのぐらいワイドなんだから問題ない」という答えが。まあたしかにそうだ。それに実際コルマール周辺の道を走った限り、幅広くて困ることはなかった。

インテリアに派手さはなく、上質で美しい。上級グレードにはクーペ407などでおなじみの「インテグラルレザー」も用意されるという。そういった仕立ても似合うだろう。試乗車は近年のプジョーでおなじみになりつつある「パノラミックルーフ」つき。4.86平方mとクラストップを誇るグラスエリアが、キャビンを開放的に見せてくれる。

ウインドスクリーンの傾きはかなりきついが、フロントシートが307より低くなったので気にならない。ヒジまわりで35mm拡大したという幅の余裕も実感する。当たりはやさしく、芯はしっかりという着座感はプジョーそのものだ。

リアシートは、足元が28mm広くなったという言葉どおり、身長170cmの自分にとっては文句のない広さ。頭上空間にも余裕がある。しかも座面が高めで適度な傾きもあるので、着座感がいい。背もたれを倒すだけの折り畳みですませず、ダブルフォールディングにこだわった成果が出ている。VDA方式で348リッターの容量を持つラゲッジスペースは、フロアの低さと左右の出っ張りのなさが印象的。パッケージングはマジメだ。

日本導入は1.6リッターターボ車の予定

エンジンはガソリンが207にも積まれているBMWとの共同開発ユニットで、1.4/1.6リッター自然吸気と1.6リッター直噴ターボがある。2リッターは1.6ターボに置き換えることでダウンサイジングを実行した。HDiと呼ばれる直噴ディーゼルターボは2種類の1.6リッターと2リッターがある。トランスミッションはガソリンは5速MTが基本で1.6に4速ATも用意。HDiは1.6が5速MTと6速2ペダルMT、2.0が6速MT/ATを設定する。

このうち1.6HDiはプジョーとミシュランが共同開発した、転がり抵抗を20%低減する「エナジー・セーバー」タイヤを装着することで、1kmあたりのCO2排出量を120gとしている。さらに2010年にはディーゼル・ハイブリッドも登場する予定など、環境問題にも積極的に取り組んでいる。

来春発売予定の日本仕様はガソリン1.6ターボのみで、6速MTと4速ATを用意するという。遅れて登場する6速MTは175ps、4速ATでは140psになるが、今回乗った5速MT仕様は150psで、207GTと同じチューニングだ。

308のボディは307がそうだったように、フロントフェンダーを樹脂製、ボンネットやフロアの衝撃吸収メンバーをアルミ製とするなど、主として前まわりを積極的に軽量化している。そのため車重は、衝突安全性能を強化したにもかかわらず、1327kgとそんなに重くない。おかげで加速はけっこう強力だし、それ以上にターボならではのフレキシブルな性格がありがたい。207GTもそうだが、シフトダウンせずにアクセルひと踏みで速度を上乗せできるのでラクだ。AT向きのエンジンともいえる。

試乗会では自然吸気のガソリン1.6やディーゼルにも乗った。シフトレバーを状況に合わせて的確に動かせば、自然吸気1.6でも加速は問題なし。HDiの1.6はガソリン1.6ターボに負けないフレキシビリティがありがたく、ディーゼルとしては上までスムーズに回るのが心地いい。圧巻は2.0HDiで、ガソリン並みの静かさと怒涛の大トルクに圧倒されっぱなしだった。プジョーのディーゼルの実力をまざまざと見せつけられた。

それ以上に心に残ったのは、乗り心地やハンドリングがプジョーそのものだったことだ。その面で定評のある307のプラットフォームを受け継いだとなれば当然だろうが、自製のダンパーは路面のショックをしなやかにいなし、速度を上げればフラットに姿勢をキープしてくれる。しかもねじり剛性で10%アップした強靭ボディのおかげで、そのネコ足は上質感も手に入れていた。ロードノイズを含めた静粛性もハイレベルだった。

パワーステアリングが電動ではなく、電動油圧式のままとしたことも、フィールの点でいい結果を生んでいる。アルミ製ボンネットと樹脂製フロントフェンダーで前荷重を減らした成果は、このクラスとしては群を抜くターンインの軽快感に結びついている。ワイドボディは307で気になった腰高感を消し、自慢のダンパーが4輪をしなやかに接地させ、乗り手の意のままに駆け抜けていくニュートラルハンドリングを生み出している。それはまるで、生まれ育った野山を嬉々として駆け回っているような走りだった。

Report:森口将之
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