2006年より日本やカリフォルニアで公道走行実験を開始している日産の燃料電池車「エクストレイルFCV」がニュルブルクリンク・サーキットで燃料電池車最速タイムを樹立した。
CO2排出もエキゾーストノートも無縁なタイムアタック
世界一過酷な公道サーキットとして有名なドイツにあるニュルブルクリンク・サーキット。激しいアップダウンと長い直線、さらには一般道と同じ路面やエスケープゾーンをほとんど持たない1周約20kmのこのコースは、輸入車メーカーやタイヤメーカーのほか、国産ではインプレッサ、ランエボ、NSXなどが開発テストを行い、その卒業試験場となっている。日産は、R32GT-R以来、GT-Rの開発にこの地を使っているのはご周知の通りだ。
そんな過酷なコースで、日産の燃料電池車「エクストレイルFCV」もテストを敢行。ドライバーは、2008年ニュル24時間レースに日産Z350(Z33フェアレディZ)で参戦したフランク・アイクホルトだ。「エクストレイルFCV」は、市販700気圧の高圧タンクに詰められた水素は、水素スタックで発電した電気でモーターを駆動する。モーター駆動ゆえエキゾーストノートが無いのはもちろんだが、排出されるのは水のみというこのクリーンなマシンが記録したタイムは11分58秒。しかもタイヤは通常のストリートラジアルで全面ウエットというコンディション。もし路面がドライなら、30~40秒のタイム短縮も可能だったらしい。とはいえ、燃料電池車で世界最速タイムを樹立したのだ。
このタイムを少し分析してみよう。エクストレイルFCVの最高出力は90kW(120PS)、最大トルク280Nm(28.6kg-m)と、出力特性はガソリンエンジンとは異なるので直接比較することは危険だが、ピークの数値だけみればガソリンの1.3Lエンジン並みだ。しかも車重は約1.8tと決して軽くない。最高速度は150km/hだ。
ニュルブルクリンクでR32GT-R記録したラップタイムはドライ路面で8分20秒。同様のコンディションでエクストレイルFCVも走行したと仮定すれば11分20秒と、その差は3分だ。ニュル1周が20.8kmだから1km当たりのタイム差は約8.6秒。このタイム差を全長2kmの筑波サーキットに当てはめると、1分5秒でラップするR32GT-Rに対してエクストレイルFCVは1分23秒となる計算だ。このタイムは、一般的なSUVと比較しても決してかけ離れてはいない。しかも筑波にはニュルのように200km/hオーバーとなる長い直線もないので、もしかするとタイム差はもっと縮まるかもしれない。つまり、エクストレイルFCVは、単純に環境性能に優れているといだけでなく、走る楽しさも手に入れてきていると言うことなのだ。
Text:相沢耕平
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