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試乗インプレッション

MINI ONE、MINI COOPER、MINI COOPER S
MINI

出揃った3モデルそれぞれの性格を探る
MINI ONE、MINI COOPER、MINI COOPER S

新型MINIシリーズは、2007年2月にCOOPERとCOOPER Sがデビューし、5月にはONEが販売開始。いよいよ基本3グレードが揃ったところで、それぞれのキャラクターの違いを探ってみた。萩原秀輝がレポートする。
[2007/07/20]

生まれながらのプレミアム

2002年、クラシックMiniをBMWグループが復活させたとき、クルマ業界の関係者の誰もが今日のMINIの成功を想像できなかっただろう。むしろ、かつてのMiniを愛した人々からは、批判的な意見も聞こえてきた。ところが市場の反応は違っていた。MINIは世界中の人々からの圧倒的な支持を獲得し、単独モデルとしては驚異的な販売実績を残すこととなった。

その理由は、MINIが量販車の派生モデルではなかったことが掲げられる。ネオクラシック路線を狙った派生モデルは世の中に数多く存在しているが、MINIの場合はクラシックMiniの歴史と伝統が築き上げたサブスタンス(本質)を活かしながら、「純粋な新型車」としてゼロから開発されている。さらに、BMWの高いクオリティが裏付けとなり、いわばMINIは“生まれながらのプレミアム”として誕生したわけだ。かつ製品だけではなく、宣伝広告や販売を含め“エキサイティング”という串刺しのイメージが貫かれていたことも成功の背景にある。

そのMINIが、2007年早々に5年振りのフルモデルチェンジを実施した。日本市場に上陸した新型MINIは、従来型との見分けがつきにくい。だが、それはメーカーの意図した戦略だ。すでに誰からも愛されるキャラクターを持っているゆえに、あえてそのデザインを変える必要がないのだ。とはいうものの、実際にはルーフパネル以外はすべて新設計となる。しかも、メカニズムを含めあらゆる面でクオリティに磨きをかけている。それが事実であることが乗ればすぐにわかる。

気軽にエキサイティング MINI ONE

新型MINIの日本上陸に少しだけ遅れて追加されたのが、ベーシックモデルのONEだ。エンジンは、1.4リッターの直列4気筒を搭載。1.4リッターでは頼りなさそうに思えてしまうかもしれないが、心配はいらない。1.4リッターといっても無段階でバルブの吸排気タイミングと吸気リフトを連続可変制御するダブルVANOSとバルブトロニックを採用。もちろん、ヘッドは4バルブDOHCだ。

つまり、BMWグループが誇る最先端の技術が惜しみなく投入されているわけだ。それだけに、ONEはベーシックモデルではあるがけっして廉価版ではない。メカニズム面では、MINIのエッセンスを凝縮したようなモデルだ。エクステリアやインテリアはディテールまで目を凝らすとやや素っ気ない部分はあるが、そのシンプルさがかえってMINIらしいという見方もあるだろう。MINIに対して何となく“コスメティックに懲りすぎ”という印象を持つ人にもスッピンの魅力を提供できそうだ。

ONEのそんなさり気なさが、走りにも現れている。エンジンは、とにかく軽快に吹き上がる。高回転域の伸びも鋭く、6000rpmオーバーまでエキサイティングなパワーが持続。それも当然で、エンジンの排気量は従来型のONE(1.6リッター)よりも小さいが、パワーは新型の方が5ps勝っているのだ。しかも、6速ATのギア配分は低速域でエンジン回転数を稼ぐことに適しているので、パワーが充実した回転域を保ちやすい。

それでいて、高速域で一定の速度を維持するときには6速100km/hで2300rpmとエンジン回転数は低めになる。そのため、エンジン音は少しだけ聞こえてくるものの騒がしくはなく、静粛性に不満は感じない。しかも、超高剛性ボディと引き締まった設定のサスペンションがもたらす乗り心地は、BMW 3シリーズの感覚にも結びつきコンパクトなクルマを走らせる頼りなさとは無縁でいられる。そうした裏付けがあるからこそ、気軽にエキサイティングな走りが楽しめるのだ。

クセになるゴーカートフィーリング MINI COOPER

クラシックMiniから受け継いだ新型MINIの走りは、ひとことで言えば“ゴーカート・フィール”。その感覚を際立たせているのがCOOPERだ。ステアリングは、ロックまで切っても片側へ1回転ちょっと。ステアリング操作に対して短いノーズがクイッと向きを変える。手応えが少しばかり重めな点も、ゴーカートの小径ハンドルの操作感を思い出させてくれる。この感覚はクセになりそうだ。

ONEでもCOOPERと同様のエキサイティングなハンドリングが楽しめるが、エンジン排気量が1.6リッターとなるCOOPERではアクセルを踏み込んだ瞬間の力強さの立ち上がりがさらに小気味よい。それだけに、ステアリング操作とアクセル操作のリズムがアップテンポになり、コーナーを駆け抜けるたびに一般道がゴーカートコースのイメージに近づいてくるのだ。それこそ、交差点を曲がるだけでも周囲に注意を配りながら振り回したくなる衝動に駆られるほど。

それでありながら、従来型ほどサスペンションの硬さを意識することがないのもいい。設定が引き締まっていることに変わりはないのだが、フリクションを徹底的に低減した結果、サスペンションの動きがスムーズになっているからだ。ストロークも従来型以上に確保してある。そのため、補修を繰り返したような荒れた路面でも不快な突き上げを感じることがなく、それでも遮断できない衝撃は高剛性ボディが抑え込んでしまうのだ。

究極のエキサイティング MINI COOPER S

新型MINIが積む4気筒4バルブDOHCエンジンは、BMWグループとプジョーによって共同開発されている。最先端の技術が投入されているヘッド回りはBMWグループの主導(シリンダーやクランクケースはプジョー)で新設計されたものだ。ちなみに、MINI用のエンジンはイギリスにあるBMWグループのHams Hall工場で生産される。

とくに、COOPER Sのエンジンは直噴ツインスクロール ターボチャージャーを組み合わせ175psの高出力を発生。しかも、ソレノイド式インジェクターにより超高精度な噴射制御を可能にするので、26.5kg-m(オーバー・ブースト時)という325iが積む2.5リッターの直列6気筒エンジンを越えるトルクを低回転域から発揮する。さらに、そのトルクがアクセル操作に対するタイムラグなく引き出せる応答性を実現する。そして、フル加速すると快音を響かせながらレブリミットの6500rpmまで一気に吹き上がる。

ただ、COOPER Sはフル加速すると、路面状態によっては相変わらずステアリングがどちらかに切れ込みそうになるトルクステアを示す。だが、それもまたエキサイティング。意識して直進状態を保てば十分に修正可能なので、その小さな覚悟が圧倒的な速さという大きな感動を呼び、このクラスでは最高レベルのパフォーマンスを持つCOOPER Sを乗りこなす実感になる。しかも、COOPER Sはスポーツサスペンションを標準装備するので、ハンドリングのダイレクト感が増しスタビリティの高さもONEやCOOPERより一段と向上している。

ハヤリ物の価値を超越したMINI

あらゆる意味でクラシックMiniのサブスタンスを受け継ぎながら、最先端の技術とクラスを越えるクオリティを盛り込んだ新型MINI。まさに、クラス唯一のプレミアムと位置づけられるだけに、パイクカー的なハヤリ物とは別次元の価値を持つクルマといえるだろう。

それでも、デザイン優先となるスイッチ類の使い勝手が洗練されていなかったり、大柄な男性がそろうと大人4人乗車が厳しくなったりと、それなりの不満はある。だが「そんなことはどうでもいっか」と許せてしまうくらい、MINIは魅力に溢れている。しかも、豊富なボディカラーやインテリアカラー、様々なトリムなどを組み合わせ、選ぶ楽しさだけで何日も費やしてしまいそうなオプションを装備すれば、自分だけのMINIを完成させることも可能。オーナーになることを想像するだけでもエキサイティング、そんなクルマはそう多くない。

Report:萩原秀輝
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