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試乗インプレッション

Maserati
ライバルとは一線を画す独特の上質感
マセラティが今年のジュネーブショーにてデビューさせたグランツーリスモを早速試すことが出来た。BMWなどのライバルとは異なる独特のテイストは、この新型でも健在だったようだ。
[2007/08/03]
ライバルとは一線を画す独特の上質感
マセラティ グランツーリスモ
マセラティが今年のジュネーブショーにてデビューさせたグランツーリスモを早速試すことが出来た。BMWなどのライバルとは異なる独特のテイストは、この新型でも健在だったようだ。[2007/08/03]
ボディはグランスポーツよりひと回り以上「成長」
読んで字の如し--。マセラティ・グランツーリスモは、まさに最新のラグジャリーGTに相応しいキャラクターの持ち主だった。
マセラティ自身は、グランツーリスモの魅力を「パーフェクト・バランス」と表しているが、実際に接してみると、それが決してイタリア的オプティミズムに根ざした誇張ではないことが理解できる。日常の使用に十分以上の実用性と優れた快適性、そして乗り手を退屈させないドライブフィールなど、GTに必要な要素のすべてが高い次元でバランスしているからだ。正直、現状では従来からの熱心なファンをも納得させる扇情的“熱さ”こそ不足気味。しかし、このクルマのメインマーケットになるであろう北米では間違いなく歓迎される仕上がりと思われた。
今年のジュネーブ・ショーで発表されたグランツーリスモは、従来からあるグランスポーツの実質的後継。といっても、ボディはひと回り以上大きく、スリーサイズは全長4881mm、全幅1847mm、全高1353mm。ホイールベースに至っては2942mmと3m近い。グランスポーツ比では順に356mm、27mm、43mm、282mmもの拡大となっていて、当然ながら市場における仮想敵も両者では異なる。グランスポーツのライバルはポルシェ911やBMWのM3あたりを想定していたそうだが、グランツーリスモはBMW6シリーズ(M6も含む)、ジャガーXK、さらにはメルセデスCLクラスあたりもターゲットに含まれている。ご存じのようにCLやXK、6シリーズといえば絶対的なパフォーマンスだけでなく快適性でも定評のある面々。ネーミングにおける「グラン」の後ろが、「スポーツ」から「ツーリスモ」へと変わったことは、いわば必然でもあったわけだ。
マセラティ自身は、グランツーリスモの魅力を「パーフェクト・バランス」と表しているが、実際に接してみると、それが決してイタリア的オプティミズムに根ざした誇張ではないことが理解できる。日常の使用に十分以上の実用性と優れた快適性、そして乗り手を退屈させないドライブフィールなど、GTに必要な要素のすべてが高い次元でバランスしているからだ。正直、現状では従来からの熱心なファンをも納得させる扇情的“熱さ”こそ不足気味。しかし、このクルマのメインマーケットになるであろう北米では間違いなく歓迎される仕上がりと思われた。
今年のジュネーブ・ショーで発表されたグランツーリスモは、従来からあるグランスポーツの実質的後継。といっても、ボディはひと回り以上大きく、スリーサイズは全長4881mm、全幅1847mm、全高1353mm。ホイールベースに至っては2942mmと3m近い。グランスポーツ比では順に356mm、27mm、43mm、282mmもの拡大となっていて、当然ながら市場における仮想敵も両者では異なる。グランスポーツのライバルはポルシェ911やBMWのM3あたりを想定していたそうだが、グランツーリスモはBMW6シリーズ(M6も含む)、ジャガーXK、さらにはメルセデスCLクラスあたりもターゲットに含まれている。ご存じのようにCLやXK、6シリーズといえば絶対的なパフォーマンスだけでなく快適性でも定評のある面々。ネーミングにおける「グラン」の後ろが、「スポーツ」から「ツーリスモ」へと変わったことは、いわば必然でもあったわけだ。
ベースはクアトロポルテのAT仕様
その基本構成は、先頃日本にも上陸したクアトロポルテの6ATがベースと考えれば分かりやすい。プラットフォームは、M139とマセラティが呼ぶクアトロポルテ用のホイールベースを125mm、リアオーバーハングを66mm短縮したもので、スカイフックダンパーをオプション設定する4輪ダブルウイッシュボーンの足回りなども共通。4.2LのV8DOHCに組み合わせるミッションもZF製の6ATのみで、クアトロポルテでは継承されたデュオセレクト、2ペダルセミATは設定すらされていない。ちなみに、車重はクアトロポルテより110kg軽い1880kgだが、前49:後51という前後重量配分も変わっていない。
もちろん、構成は同じでも味付けはグランツーリスモ・オリジナルだ。まず、マセラティとしては最新世代となるV8は若干高回転型になった。クアトロポルテの6AT化に際して潤滑をドライサンプからウェットサンプへ、加えて燃焼室形状やインレットマニホールドなど幅広い部分に手を加えたこのユニット、グランツーリスモでは最高出力と最大トルクの発生回転数がそれぞれ100rpmと500rpm上方にシフトしている。その結果、トルクは0.5kg-mほど細くなったが、パワーは逆に5psアップ。スロットル操作に対するレスポンスも鋭くなっていて、その数値は最大で20%という(スポーツモード時)。一方、6ATについてはギア比こそクアトロポルテと変わらないが、こちらもシフト時のレスポンスが向上しているという。
もちろん、構成は同じでも味付けはグランツーリスモ・オリジナルだ。まず、マセラティとしては最新世代となるV8は若干高回転型になった。クアトロポルテの6AT化に際して潤滑をドライサンプからウェットサンプへ、加えて燃焼室形状やインレットマニホールドなど幅広い部分に手を加えたこのユニット、グランツーリスモでは最高出力と最大トルクの発生回転数がそれぞれ100rpmと500rpm上方にシフトしている。その結果、トルクは0.5kg-mほど細くなったが、パワーは逆に5psアップ。スロットル操作に対するレスポンスも鋭くなっていて、その数値は最大で20%という(スポーツモード時)。一方、6ATについてはギア比こそクアトロポルテと変わらないが、こちらもシフト時のレスポンスが向上しているという。
「スポーティ」な味わいは現状でも十二分
その走りは、前述の通りGTとして的を射た仕上がり。スカイフックダンパーも連動する走行モードをノーマルにして走らせる限り、ドライブフィールは乗り心地が若干ソリッドな上級サルーンという趣だ。6ATのシフト制御は、まさに期待通りのシームレスぶりを発揮。もはやスムーズに走らせる上で、2ペダルセミATのようなアクセル操作の気遣いは必要ない。クアトロポルテより若干ファイナルが低いとはいえ、100km/h巡航時のエンジン回転数はメーター読みで1900rpm程度に過ぎず、カッチリとした仕立てのボディは遮音性も上々だから、ハイウェイ巡航も快適そのもの。荒れた路面だと、多少ステアフィールに神経質な面も窺わせるが絶対的スタビリティは十分で、わずかに響く「クォー」という快音に耳を傾けつつクルーズしていると、ラグジャリーなGTらしい贅沢な気分が味わえる。
だが、インパネのスイッチでスポーツモードを選択、ステアリングコラムから伸びるパドルを操作して乗り手のソノ気を伝えると、グランツーリスモはそれにも応えてくれる。メーター上、7200rpmからがレッドゾーンとなるV8の吹け上がりは実にスムーズ。マニュアル操作で引っ張れば2速140km/h、3速では170km/hを超える(いずれもメーター読み)だけに、「スポーティ」という次元までなら満足度は十二分だ。もっともスポーツユニットらしい危うさを含んだ切れ味、あるいは高回転域のストーリー性といった情緒が今一歩なのも事実で、たとえばグランスポーツのごときピリピリした緊張感や、それに付随する高揚は期待できない。まあ、イタリア車の場合こうした部分はランニングチェンジを機に激変するケースが珍しくないから、今後に期待というところだろうか。
一方、シャシーは前後重量配分に代表されるマセラティのこだわりが実感できる。乗り心地の第一印象こそドイツ車的だが、巨大なクーペらしからぬ身のこなしの軽やかさは、ならではのキャラクター。とりわけ印象的なのは、ステアリング操作に対する反応の素直さだ。ギアレシオで意図的にゲインを高めているわけではないのだが、多少タイトなコーナーであろうと何のてらいもなく「スイッ」と向きが変わる様は圧巻ですらある。そして、そんな身軽さは速域が上がってもキープ、同時に旋回が始まると自分を中心に向きを変えているような「Z軸体験」すら味わわせてくれる。前後重量バランス、というとBMWのこだわりが有名だが、キャラクターの立ち具合ではこちらの方が明瞭かもしれない。
このように、ラグジャリーなGTとしては非常に均整の取れたまとまりのグランツーリスモ。日本での正式デビューは東京モーターショーあたり、価格は1500~1600万円と予想されるが、たとえば“そういう買い物”を苦にしない人がスタイリングに魅せられて衝動買いしても、とりあえず後悔することはなさそうだ。
Report:小野泰治(ル・ボラン編集部)
Photo:コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド
だが、インパネのスイッチでスポーツモードを選択、ステアリングコラムから伸びるパドルを操作して乗り手のソノ気を伝えると、グランツーリスモはそれにも応えてくれる。メーター上、7200rpmからがレッドゾーンとなるV8の吹け上がりは実にスムーズ。マニュアル操作で引っ張れば2速140km/h、3速では170km/hを超える(いずれもメーター読み)だけに、「スポーティ」という次元までなら満足度は十二分だ。もっともスポーツユニットらしい危うさを含んだ切れ味、あるいは高回転域のストーリー性といった情緒が今一歩なのも事実で、たとえばグランスポーツのごときピリピリした緊張感や、それに付随する高揚は期待できない。まあ、イタリア車の場合こうした部分はランニングチェンジを機に激変するケースが珍しくないから、今後に期待というところだろうか。
一方、シャシーは前後重量配分に代表されるマセラティのこだわりが実感できる。乗り心地の第一印象こそドイツ車的だが、巨大なクーペらしからぬ身のこなしの軽やかさは、ならではのキャラクター。とりわけ印象的なのは、ステアリング操作に対する反応の素直さだ。ギアレシオで意図的にゲインを高めているわけではないのだが、多少タイトなコーナーであろうと何のてらいもなく「スイッ」と向きが変わる様は圧巻ですらある。そして、そんな身軽さは速域が上がってもキープ、同時に旋回が始まると自分を中心に向きを変えているような「Z軸体験」すら味わわせてくれる。前後重量バランス、というとBMWのこだわりが有名だが、キャラクターの立ち具合ではこちらの方が明瞭かもしれない。
このように、ラグジャリーなGTとしては非常に均整の取れたまとまりのグランツーリスモ。日本での正式デビューは東京モーターショーあたり、価格は1500~1600万円と予想されるが、たとえば“そういう買い物”を苦にしない人がスタイリングに魅せられて衝動買いしても、とりあえず後悔することはなさそうだ。
Report:小野泰治(ル・ボラン編集部)
Photo:コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッド
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