日本の最高峰サルーン「レクサス LS600h」がメーター読みで270km/hも出る性能を秘めていることはすでにお伝えした。そこで今回は、世界中の高級車に触れる機会の多い清水和夫が、その高性能を支えている技術を、世界のプレミアムカーとフェアに比べる。
北米価格1250万円、これは安い
アメリカの自動車サイトにレクサス LS600hの価格が掲載されていた。メルセデスやBMW、アウディの現地価格を見ると分かるのだが、アメリカではプレミアムカーが他国より安く売られるケースが多い。欧州の高い消費税とユーロ高を考えると、アメリカ人はラッキーだ!と言いたくなるが、彼の地ではそれだけ高級車がたくさん売れるのだからまぁ仕方ない。そういえば昔、家電メーカーで輸出業務を担当していたとき、日本製品は安すぎるとアメリカの企業から不満を言われたことがあった。市場ごとの価格設定は為替の影響を受けるのでフェアに設定するのは難しいが、今回発表された2008年モデル レクサス LS600hのベースモデルが10万4750ドル〜(1ドル120円換算で1257万円)というのは驚くべき安価かもしれない。しかもLS600hは、あり余るトルクを路面に伝えるため駆動方式はAWDとしている。パフォーマンスが12気筒エンジン並で、しかも4WD。スペック上はメルセデスS550 4マチック、アウディA8 6.0、ベントレー・フライングスパーあたりがライバルになり得る。
そのLS600hのAWDシステムは、機械式フルタイムAWDだ。FFベースのアーキテクチャーをもとに開発されたエスティマ ハイブリッドの4WDシステムは、プロペラシャフトがない“電気四駆”として注目されたが、LSはFRベースなのでフロントにトランスファーを取り付ける必要がある。メルセデスの4マチックよりも非凡な点は、左ハンドルの場合は、ギアボックスの進行方向に向かって左側にトランスファーを取り付け、そのままフロントにプロペラシャフトが伸ばされている。エンジンの下側にフロントデフを配置し、機械式フルタイム4WDを完成させているのだが、特筆すべきはトランスファーと干渉しないようにステアリング・シャフトは二箇所のジョイントを介して取り付けられていることだ。右ハンドルはトランスファーが邪魔しないから問題なくステアリングが配置できる。要するに、右・左ハンドルともにAWD仕様が用意されているのだ。メルセデスは右側にトランスファーがあるので、右ハンドル車が作れないという悩みがある。メルセデスもLS600hのレイアウト技術を見習うべきだろう。
採用されているトランスファーは、機械式のトルクセンシングタイプ(トルセンデフ)。従来のFR系のAWDは、湿式多板クラッチを使っていたが、VSCとの相性はあまり褒められたものではなかった。高性能AWDに出遅れたトヨタが、LS600hでどんなAWDシステムを開発しているのか興味があったが、結果は、メルセデスと同じく機械式を採用したというわけだ。
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