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試乗インプレッション

ジャガーXKR
Jaguar

乗り手にもそれなりの年輪と人生修行が必要
ジャガーXKR

サルーンもいいが、スポーツカーを作らせても腕前が冴える名門ジャガー。栄光のコードネーム「XK」を、さらにスーパーチャージャーで強化して、今XKRが大地を蹴る。
[2008/04/16]

往年の名車Eタイプを思い起こさせるボディに最先端技術を搭載

優美にして豪快。高級だが高級すぎず、実用的なのに贅沢でもある、心憎いほど的確にポイントを押さえたのがジャガー・スポーツの魅力。だから戦後のアメリカで爆発的な人気を博し、これほどまでの成長を遂げた。その源流はXK120(49年)に端を発し、名作Eタイプ(62年)を経て96年にXK8となり、今のXKシリーズへと発展してきた。豊かな曲線で構成された、いかにもスポーツカーの原点という雰囲気は一貫して受け継がれ、常に独特のジャガー・ワールドを形成している。そんな伝統的な味わいを守りながらも、現在のXKは自動車技術の先端を走るのが特徴だ。

XJサルーンと同様アルミ製のボディは軽く強靱。分厚い幌で守られたコンバーチブルも驚くほどガッチリした剛性感に富む。クーペがハッチバックなのも、往年のEタイプが思い出されて嬉しい。これは優雅な旅行にも最適だが、イギリスの富裕層が愛用したシューティングブレーク(狩猟用のパーソナルカー)のイメージを現代に転写したものでもある。長いボンネットの奥に潜むエンジンは最新技術を総動員したV8ツインカム4.2Lで304ps。それにスーパーチャージャーを取り付けて426psまで増強したのがXKRだ。どちらも限界ギリギリではなく、ゆったり余裕で流せるように仕立てられているのが、大人の雰囲気の元だろう。もちろん、上質の皮やウッドパネルで仕上げられたインテリアにも、渋さと寛ぎの空気が充満している。

そよ風のように行くのが流儀

スポーツカーとはいっても今のXKは、根性こめて峠を攻めまくるような激しさとは縁が薄い。それは高性能版のXKRでも同じで、やたらアクセルを踏みまくるのではなく、低い回転からじっくり息吹を楽しむクルマだ。例によって繊細な手応えのシフトレバーをコツコツと引いてDレンジに入れれば準備完了。あとはスル~ッとそよ風のように行くのが流儀だったりする。あまりにもパワーの余裕が大きいので、マニュアルモード(パドルで操作する)も実際には活用するチャンスが少なく、宝の持ち腐れ状態だ。乗り心地もスポーツカーの平均からすれば少しソフト。そのくせしっかり感も秘めていて、どんな路面でも落ち着いてフラットな姿勢を保つ。それらを総合すると、快適なXJサルーンをそのまま2シーターにしたようなものだ(申し訳ほどの後席もあるが、実際にはほとんど座れない)。

しかし、やはり血筋は争えず、その気で攻めれば名前の通り獰猛な肉食獣の素顔も出る。パワーもそうだが、やはり感銘を受けるのはシャシーの持ち味。コーナーなど、まるでドライバー自身を軸にするように自然に向きを変え、まるで軽量級スポーツカーのような軽快さを楽しませてくれる。若いころスポーツで鍛えただけに、熟年を迎えた今でも、いざとなれば戦いも辞さないという感じだろうか。逆に言えば、ジャガー、それもXKが似合うようになるまでは、それなりの年輪と人生修行が必要ということだ。

Report:熊倉 重春
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