いま日本では1年間に売れる新車のうち3台に1台は軽自動車である。売れている理由は色々だろうが、新型ムーヴの場合では、「確かにこれはイイ」と思える、わかりやすい良さがあった。
もう、安っぽいところはない
「最近の軽はよくできている」というのは、乗用車に普段乗っている人が、何かの機会で軽自動車に乗ったときによく口にするフレーズだが、その物言いには「確かによくはできているけど、おれのクルマほどじゃないナ」というニュアンスが含まれている場合も多い。だから実際に目の前にクルマがあったりすると、アレコレいじりながら「あっ、でもこういうところが、まだ安っぽいね」とかなんとか付け足して、マイカーの優位性にほっと胸を撫で下ろす。見たことありませんか、そういうシーン。
でも、今度のムーヴは、その「まだ安っぽい」ところがほとんどなくなった。だからいい部分が余計に際立って見えるのだ。少なくても短時間の試乗では、これといった決定的な弱点は見つからなかった。
メルセデス Aクラスになんとなく似たスタイリングもグッドルッキンだと思うが、デザインの話は置いておいてここでは中身の部分を見ていきたい。まず驚くのは室内の広さだ。リアドアを開けると、「うっそ! これが軽?」と驚くほどの広大な空間が広がっているのだ。タテもヨコも高さ方向にも広い。特に足下スペースの広さが圧巻で、もしかしたらエスティマやMPVなどに匹敵するのでは? と思って後で調べてみたら、さすがそれら大型ミニバンには適わないようだけど、1065mmの前後カップルディスタンス(前席から後席ヒップポイントまでの距離)は軽自動車中最長なだけでなく、多くの小型〜中型セダンより確実に広い。
もちろん、リアシートには255mmのロングスライド機構が付いているから、どの位置にセットするかによっても広さは変わってくるが、荷室優先でシートを前方にスライドさせても足がちゃんと入るスペースが残されるし、後ろにスライドさせても荷室にある程度の荷物が積めるレベルだから、室内長2110mmという軽最長を実現したこの広さは“本物”だ。
広いだけじゃない。後席の床面は完全フラットに設計されているから座ったときの窮屈感もないし、アウトドアグッズや傘など「床に置きたい長めの荷物」を地面に置くときにも便利。ドアは90度まで大きく開くので、その際の荷物の出し入れも楽にできる。もうひとつイイと思ったのは、リアシートの座面クッションがしっかりした造りであること。軽はコストのせめぎ合いが乗用車よりシビアなことから、いつも人を乗せるわけではないリアシートには、前席より柔らかい(安っぽい?)クッションが使われているクルマもあるが、ムーヴにはリアシートの座面にもしっかりとしたものが使われていて、この広さと座り心地なら長距離ドライブも苦痛にならないように思えた。
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