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Audi TDI Winter Test Drive
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クワトロとTDIによる新価値想像なるか
Audi TDI Winter Test Drive

アウディが開発したEURO5をクリアしたディーゼル搭載のA5にトロントで試乗する機会に恵まれた。E320CDIに続く日本市場への輸入クリーンディーゼル車となるか、そのポテンシャルをレポートする。
[2008/03/17]

春の兆し

現在、日本で新車として買えるディーゼル乗用車は、メルセデス・ベンツE320CDIたった1モデルだけ。ひと昔前まではSUVを中心にディーゼルが選べたことを思うと、いまはディーゼルにとって真冬の時期。日本の厳しい排ガス規制がこの状況をもたらしたのはいうまでもなく、以前より東京の空気がきれいなったのも実感できるから決して悪いことばかりではない。一方、海の向こうのヨーロッパでは、これまでよりも高性能で低燃費、騒音・振動を抑え込んだ魅力的なディーゼル車がマーケットシェアの半分以上を占めるようになった。当然、排ガスのクリーン化も進められているが、ヨーロッパの規制はクリアできても日本の規制はさらに厳しいため、メルセデス以外のメーカーが日本導入を踏みとどまっているというのが現状なのだ。

そのうえ日本では、2009年にも規制を一段と強化した、いわゆる「ポスト新長期規制」に踏み切る見込み。これでディーゼルは絶滅かと危惧されたが、その燃費の良さを活かして販売台数を上積みしようと、クリーンディーゼル開発に果敢に挑むメーカーが現れている。たとえば、日産は2008年の秋、エクストレイルにディーゼルエンジン搭載モデルを追加する予定であるし、ホンダも2009年にディーゼル車を投入する計画だ。東京モーターショーでひっそりとディーゼルエンジンを展示していたフォルクスワーゲンも2009年の発売を明らかにしている。そして、昨今の直噴ターボディーゼルブームの生みの親といえるアウディも、日本への導入を真剣に検討しているというのだ。

アウディは最新の3リッターV6 TDI(=直噴ターボディーゼル)をクリーンディーゼル化。ベースのエンジンは、高圧燃料噴射システムの「コモンレール」や可変ノズル式のVTGターボなどによって240ps(176kW)、51.0kgm!(500Nm)の高性能を誇るとともに、DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター)などの排ガス処理装置などにより、ヨーロッパの次の規制「ユーロ5」をクリアしている。

A5クリーンディーゼルをカナダで試す

しかし、このユーロ5は、アメリカの「Tier2 Bin5」や日本のポスト新長期規制よりもNOx(窒素酸化物)の基準が甘く、アウディの3リッターTDIをこのまま日本に導入することは不可能。そこでアウディは、燃料噴射圧を最大2000気圧まで高めるとともに、燃焼室センサーを設けるなどして燃焼をさらに精密化。加えて、排ガス中のNOxを約9割削減できる「尿素SCRシステム」を採用することで、厳しい基準をパスできる性能とした。

そのクリーンディーゼル搭載のA5を、カナダのトロントで試乗した。結論からいえば、ベースのA5 3.0 TDIと比べて見劣りするところはなかった。アイドリングで、かつてのディーゼルとは比べものにならないほど音や振動が抑えられているのはいまや常識。6ATと組み合わされたエンジンはわずか1000rpmからガソリンV8並みの余裕があり、1400rpmを超えたあたりから本領を発揮、3000rpm過ぎまで実に力強い加速を見せてくれる。しかもクワトロだから、雪道でも大トルクを持て余さずに済む。6速、100km/hは2000rpmほどで、スピードが上がるほど、ガソリンエンジンよりキャビンが静かなのもディーゼルのメリット。3000rpm後半からレブリミットの4800rpmまでは多少ノイズは高まるものの、重苦しい感じはしない。

このように実にスポーティなクリーンディーゼル、最大トルクは4.2リッターV8を積むS5をはるかに上回る一方、燃費は2リッター並みに抑えられるというから、まさにこれからの時代にふさわしい高性能車なのである。アウディジャパンにとって、クワトロとTDIを軸に、新しい価値を提案し、ライバルに差をつけるには絶好のチャンスだと思うが、果たしてクリーンディーゼルの導入は実現するのか? その判断は今年7月までに下る。

Rerport:生方 聡
Photo:Audi Japan
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