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試乗インプレッション

アルファ159 3.2 JTS Q4 Q-トロニック ディスティンクティブ(ヴィラ・デステII仕様車)
Alfa Romeo

当世きっての伊達セダン
アルファ159 3.2 JTS Q4 Q-トロニック ディスティンクティブ(ヴィラ・デステII仕様車)

“伊達”という言葉が似合うクルマ、なかでもセダンは稀な存在だ。その限られたなかから、当世きっての伊達なセダンを選ぶとしたら、真っ先に思い浮かぶのがアルファ159だろう。
[2008/03/07]

新しい時代を模索するファーストステップ

4ドアセダンながらクーペのようなエクステリアに、活発なエンジンと軽快なフットワークを秘めたアルファ156が、これまでイタリア車に少し距離を置いていた人までも熱狂させたのは記憶に新しい。その成功作の後継モデルとして、日本でも2006年2月から販売されているのがアルファ159である。

156のようにリアのドアハンドルをCピラーに隠したりしなくても、クーペ顔負けのスポーティさが全身からみなぎるのはさすがアルファの血統。シリンダー状のヘッドランプを左右それぞれ3つずつ並べて睨みを利かせたフロントマスクが、クーペ版のアルファブレラや、アルファスパイダーに負けず劣らずお似合いなのにも納得がいく。

一方、その中身は、開発当時協力関係にあったGMの血が濃い。プラットフォームを共同で開発し、2.2リッター直4、3.2リッターV6のふたつの直噴ガソリンエンジンもGMに起源を持つなど、この159は未来に向けて新たな一歩を踏み出したアルファの象徴といえるモデルなのだ。

現在、日本では、セダンとスポーツワゴンの2タイプが手に入り、いずれも2.2リッターはFF、3.2リッターは4WDを採用し、前者には6速の“セレスピード”が、後者には“Q-トロニック”と呼ばれるトルクコンバーター式の6速ATが組み合わされる。セダンでは6速MTを選ぶことも可能である。

このうち今回試乗したのは、セダンの3.2リッターモデルであるアルファ159 3.2 JTS Q4 Q-トロニック ディスティンクティブで、18インチのタイヤ&ホイールや、ポルトローナ・フラウ社製のレザーシートを含むパッケージオプション“ヴィラ・デステII”がおごられている。

大人になって手に入れたものと失ったもの

洒落たレザーシートに身を任せると、目の前には独立2眼の速度計と回転計に張り出した“ひさし”、ドライバーに向けられたセンタークラスターには3連メーターと、スポーティな演出はさすがアルファ。ダッシュボートや丸いエアベント、メタルのパネル類などは高い質感を誇り、156に比べると一気に大人びた印象だ。これが並みのセダンなら文句をつける理由はないが、スポーツセダンを期待する者にはタイトさと色気が入り交じっていた156が恋しく思えるかもしれない。

それは多かれ少なかれ、他の部分にもあてはまる。新しい3.2リッターV6と6速ATにより、大幅に近代化されたパワートレインは走り出しはスムーズで、上質さが感じられるほど。アクセルペダルを踏み込めば4000rpmあたりから澄んだサウンドを漏らしながら回転を上げていくのが心地いい。ただ正直なところ、最高出力260ps、最大トルク32.8kgmを誇るにしては加速は物足りない。ひとクラス大きなボディと4WDシステムを手に入れたことで1770kgに達したボディがそうさせてしまったわけだ。

一方、新しいプラットフォームは高い快適性をもたらした。適度に締め上げられたサスペンションは、235/45R18サイズのタイヤを履くにもかかわらずマイルドな乗り心地をもたらし、フラット感のある落ち着いた挙動を示す。ワインディングロードでは軽快さこそないものの、アウト側がじわっと沈んですうっとコーナーを駆け抜けるアルファらしさは健在だ。

というわけで、スポーティさよりも、むしろ快適さが光るアルファ159。毎日乗るにはこのくらいの性格が気持ちよかったりするのだが、ギラギラしたスポーティさを失ったのはやはり寂しい。

Report:生方 聡
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