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試乗インプレッション

Alfa Romeo
[2006/07/10]
その良さを理解したのは三十路半ば 新型アルファロメオ アルファ・スパイダー海外試乗
青い空と海、そして白い砂浜。試乗ステージは、イタリア・シチリア島という、新型「スパイダー」にとってはこの上ないシチュエーションだった。景色は美しいが路面が良くないその場所で、フリーライター山田弘樹が感じたことは・・・。[2006/07/10]
すべてを兼ね備えた安楽グルマを取るか、それとも・・・
男がスパイダーを選ぶとき(もちろん女もだ)、その時点でスパイダーの魅力はもれなく理解されたことになる。のっけから何わけのわからないことを言ってるんだ? と思うかもしれないが、つまりは三十路半ばになるまで、僕も、アルファ・スパイダーを愛車に選ぶ気持ちがわかるほど、人生に“もまれて”はいなかったということだ。もしアナタが若くして、すでに歴代のスパイダーをその手にしているのだとしたら、それは先天的な才能だから、大切にした方が良いと思う。
そんなスパイダーが、ジュリエッタから数えて4回目のフルモデルチェンジを果たした。
ベースとなるのは先に発表されたクーペ、「ブレラ」である。これを「ブレラ・スパイダー」と呼ばなかった理由には、たぶん今回のスパイダーをピニンファリーナが生産担当した理由が挙げられるだろう。フロントマスクやインテリア、リアコンビネーションランプなどはジウジアーロ・デザインを尊重。全自動のソフトトップを設え、上品なキャメルバーを配し、リアクォーター部分を往年のジュリエッタ風に削り取ることで、彼らはオープントップ時の美しさをまとめあげた。ピニンファリーナ自信が「こんな異例なことは初めてだ」と言ったとかいわなかったとか、とにかくそんな複雑なお家事情で、イタリア・デザイン界2大巨頭のダブルネームがコラボレートしたのが、今回のスパイダーなのである。
そんなスパイダーが、ジュリエッタから数えて4回目のフルモデルチェンジを果たした。
ベースとなるのは先に発表されたクーペ、「ブレラ」である。これを「ブレラ・スパイダー」と呼ばなかった理由には、たぶん今回のスパイダーをピニンファリーナが生産担当した理由が挙げられるだろう。フロントマスクやインテリア、リアコンビネーションランプなどはジウジアーロ・デザインを尊重。全自動のソフトトップを設え、上品なキャメルバーを配し、リアクォーター部分を往年のジュリエッタ風に削り取ることで、彼らはオープントップ時の美しさをまとめあげた。ピニンファリーナ自信が「こんな異例なことは初めてだ」と言ったとかいわなかったとか、とにかくそんな複雑なお家事情で、イタリア・デザイン界2大巨頭のダブルネームがコラボレートしたのが、今回のスパイダーなのである。
飛躍的に向上したボディ剛性でヤワな乗り味とはおさらば
そのコンポーネンツは、2005年末に登場したセダン、アルファ159から始まるラインナップに準ずる。導入が予想されるグレードは、2.2リッター直列4気筒(185ps/6500rpm 23.4kg-m/4500rpm)を搭載するFFモデルの「2.2 JTS」と、3.2リッターV6(260ps/6200rpm 32.8kg-m/4500rpm)を4WDで駆動する「3.2 V6 Q4」の2種類。試乗会場であるシチリアで用意されていたのは両者とも6MTのみであったが、後々これをベースにしたセレスピードと、「Qトロニック」と呼ばれるトルコンATをラインナップ予定だという。
これまでのスパイダーというと、先代モデルが155のボディをベースとしており、その上それを切った貼ったしたことから、“正直ヘナヘナ”というのがその印象であった。だがその柔らかさをうまく利用して、まるでイタリアン・ジャケットのような「カジュアルでイカした着用感」を表現したのが味だったのであるが、今回のスパイダーはボディ剛性そのものがまっとうなのである。
ボディ重量そのものが元々重く(2.2 JTSで1530kg、3.2 V6 Q4で1690kg)、それのほとんどがフロントアクスルに集中することから、大きな段差を乗り越えたときなどはスカットルシェイク(車体がブルブルッと振動する現象)を感じることもあるが、今回のスパイダーが、アルファの伝統的な柔らさを実践しているとすれば、それはサスセッティングによる意図的なものである。
これまでのスパイダーというと、先代モデルが155のボディをベースとしており、その上それを切った貼ったしたことから、“正直ヘナヘナ”というのがその印象であった。だがその柔らかさをうまく利用して、まるでイタリアン・ジャケットのような「カジュアルでイカした着用感」を表現したのが味だったのであるが、今回のスパイダーはボディ剛性そのものがまっとうなのである。
ボディ重量そのものが元々重く(2.2 JTSで1530kg、3.2 V6 Q4で1690kg)、それのほとんどがフロントアクスルに集中することから、大きな段差を乗り越えたときなどはスカットルシェイク(車体がブルブルッと振動する現象)を感じることもあるが、今回のスパイダーが、アルファの伝統的な柔らさを実践しているとすれば、それはサスセッティングによる意図的なものである。
ブレラとは異なる“味”をどう手なずけるかが楽しさに繋がる
では今回用意された2台の具体的な違いは何か。ひと言で言えば、2.2 JTSは、FFアルファとして熟成を極めた4気筒モデルである。156時代から熟成をかさねたハイマウント・ダブルウイッシュボーンサスは、このシャシー設計のおかげでストロークを増し、かつては初期操舵感のみが強烈であった156とは対照的に、じんわりと路面をつかんでゆく。舵を切り込んだときにアクセルを踏み込んでも、急激にトラクションが抜けることはなく、明確なアンダーステアは自らのドライビングが作り出す(つまりこれでアンダーが出ればそれはドライバーの責任だ)、ということをわからせるだけの基本能力がある。リアのマルチリンクサスはそのフロントの動きに違和感なく追従し、荒れた路面のシチリアでさえ、リアの接地性を放棄するようなそぶりを見せることは無かった。
セッティングの狙いは完全にコンフォートで、ブレラのように切れ味とコンフォートを半分ずつ混ぜ合わせたライド感に較べ若干大人しいが、かなり本気で飛ばしたとしても、とても楽しめるレベルになっている。何よりそこには、ダイレクトに髪をなびかせるオープンエアという武器があるから爽快だ。
対して260psの高出力を、4WDによって誰にでも安全に与えようとするのが3.2 V6 Q4。ただしこれがスパイダーボディとなったときに、先にも述べた1690kgという車重が少々鬱陶しい。特にこのダスティーな路面においては、横方向のGが収まりきらない歯がゆさを感じた。ブレラでは鼻先が出口を向いた途端に「ぺたん」とアクセルを全開にすれば、たちどころに4輪を加速させたあのロケット・トラクションにも、ボディ後半のねじれなのか若干の遅れを感じる。足まわり自体は2.2 JTSよりもきつく締め上げられているが、それは相対的な車重増が理由のようで、うまくやるには常に重さと相談が必要だ。ただし、そうしてまでもパワー感に溢れるV6に乗りたい気持ちも理解できる。相対的な速さも、実際はこちらの方が上だ。
この両者どちらを選択するべきか? という問題に結論をつけるならば、「スポーツカーは速いにこしたことなし」であれば3.2 V6 Q4。「他人の目などどこ吹く風、どこまでも軽やかに駆け抜けたい」というのなら2.2 JTSという回答を一応は出しておく。ただしそれは非常に良い子ちゃんな回答であり、もともとスパイダーを選ぶような男(もちろん女もだ)は、一度でもそのステアリングを握り自分に素直に問いかければ、自然と答えが導き出せるはずである。
Report:山田 弘樹 Photo:フィアット・オート・ジャパン
セッティングの狙いは完全にコンフォートで、ブレラのように切れ味とコンフォートを半分ずつ混ぜ合わせたライド感に較べ若干大人しいが、かなり本気で飛ばしたとしても、とても楽しめるレベルになっている。何よりそこには、ダイレクトに髪をなびかせるオープンエアという武器があるから爽快だ。
対して260psの高出力を、4WDによって誰にでも安全に与えようとするのが3.2 V6 Q4。ただしこれがスパイダーボディとなったときに、先にも述べた1690kgという車重が少々鬱陶しい。特にこのダスティーな路面においては、横方向のGが収まりきらない歯がゆさを感じた。ブレラでは鼻先が出口を向いた途端に「ぺたん」とアクセルを全開にすれば、たちどころに4輪を加速させたあのロケット・トラクションにも、ボディ後半のねじれなのか若干の遅れを感じる。足まわり自体は2.2 JTSよりもきつく締め上げられているが、それは相対的な車重増が理由のようで、うまくやるには常に重さと相談が必要だ。ただし、そうしてまでもパワー感に溢れるV6に乗りたい気持ちも理解できる。相対的な速さも、実際はこちらの方が上だ。
この両者どちらを選択するべきか? という問題に結論をつけるならば、「スポーツカーは速いにこしたことなし」であれば3.2 V6 Q4。「他人の目などどこ吹く風、どこまでも軽やかに駆け抜けたい」というのなら2.2 JTSという回答を一応は出しておく。ただしそれは非常に良い子ちゃんな回答であり、もともとスパイダーを選ぶような男(もちろん女もだ)は、一度でもそのステアリングを握り自分に素直に問いかければ、自然と答えが導き出せるはずである。
Report:山田 弘樹 Photo:フィアット・オート・ジャパン
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